大学院ゼミ

博士課程(ベンチャーファイナンス研究)

研究主題

本研究では、中小企業やベンチャー企業の資金調達問題について、企業金融理論(Corporate Finance Theory)における位置づけを考察するとともに、わが国の中小企業金融およびベンチャー・ファイナンスが抱える課題や今後の金融・証券市場の改革の方向性を議論することを目的としている。

研究方法

金融関係の主要ジャーナル(Journal of Finance, Journal of Financial Economics, Review of Financial Studies, Journal of Financial and Quantitative Analysis, Journal of Financial Research, Journal of Banking and Finance, Journal of Corporate Finance, Pacific-Basin Finance Journal等)および中小企業・ベンチャー企業関係の主要ジャーナル(Small Business Economics, Journal of Business Venturing, Entrepreneurship Theory and Practice, Venture Capital, Entrepreneurship and Regional Development等)の中から、(1)中小企業金融と銀行(Small Businesses and Banks)、(2)中小企業およびベンチャー企業の資本構成とパフォーマンス(Capital Structure and Performance)、(3)ベンチャー・キャピタル投資(Venture Capital Investment)、(4)新規公開市場(Initial Public Offering; IPO)に関する論文を取り上げ議論する。1回の演習で1本の論文を取り上げる。

その他

大学院の演習で取り上げる論文および進め方については、ゼミ参加者の希望を聞いて最終的には決定する予定。
参加希望者は、Email: kutsuna@kobe-u.ac.jpまで連絡して下さい。
演習の進め方等に関する質問も、上記アドレスまで。

 

社会人大学院(MBA)

演習のテーマと目標

わが国は、欧米との比較において、起業しにくい、あるいは起業後に成功しにくい国であると考えられている。日本の開業率は1980年代以降4%前後ときわめて低い水準にあり、かつ90年代以降は開業率が廃業率を下回る状態が続いている。OECD調査やロンドン・ビジネス・スクールが実施しているグローバル・アントレプレナーシップ・モニター(GEM)においても、日本の企業家活動および企業家活動支援の水準は、調査国の中で最低ランクに位置づけられている。本演習では、企業家活動(アントレプレナーシップ)に関連するテーマを幅広く取り上げ、わが国の現状や問題点を分析するとともに、解決にあたっての方向性について、先行研究サーベイ、実態調査、データ分析、ゲスト講師との討論等を通じて議論します。本演習の最終目標としては、ゼミ生個別の研究テーマを明確にし、分析を進めるためのリサーチ・デザインを検討した後、論文を作成することである。

演習の要旨

本演習で取り上げるテーマについては、ゼミ生の関心のあるテーマについて希望を聞いて最終的に決定するが、現時点では以下のようなテーマを考えている。

  • 中小企業・ベンチャー企業のパフォーマンス
  • 大企業におけるコーポレート・ベンチャリング
  • 起業家のタイプとパフォーマンス
  • 中小企業・ベンチャー企業の資金調達
  • 株式公開
  • ファミリー・ビジネス
  • 事業再生
  • ベンチャー企業の企業価値評価(バリュエーション)
  • 中小企業・ベンチャー企業向け施策

成績評価の方法

演習における貢献と論文の評価

学生へのメッセージ

アントレプレナーシップ、中小企業やベンチャー企業のファイナンス、中小企業やベンチャー企業向けの施策に関しては下記の文献などを参照されたい。

  1. 忽那憲治『中小企業金融とベンチャー・ファイナンス―日・米・英の国際比較―』東洋経済新報社、1997年。
  2. 忽那憲治・山田幸三・明石芳彦編著『日本のベンチャー企業-アーリーステージの課題と支援-』日本経済評論社、1999年。
  3. ロバート・ガブロン、マーク・コーリング、ジェラルド・ホルサム、アンドレア・ウェストール著(忽那憲治、高田亮爾、前田啓一、篠原健一訳)『起業家社会』同友館、2000年。
  4. D.J.ストーリー著(忽那憲治、安田武彦、高橋徳行訳)『アントレプレナーシップ入門』有斐閣、2004年。
  5. リチャード・スミス、ジャネット・キホルム・スミス著(山本一彦総監訳、岸本光永、忽那憲治監訳)『アントレプレナー・ファイナンス』中央経済社、2004年。
  6. 忽那憲治、長谷川博和、山本一彦共編著『ベンチャーキャピタル ハンドブック』中央経済社、2006年2月。
  7. 安田武彦・高橋徳行・忽那憲治・本庄裕司『テキスト ライフサイクルから見た中小企業論』同友館、2007年。
  8. 忽那憲治『IPO市場の価格形成』中央経済社、2008年。
  9. 忽那憲治『中小企業が再生できる8つのノウハウ』朝日新聞出版、2010年。