ビジネス視点で共創的に
解決する能力を養成するプログラム
文部科学省における令和5年度 大学教育再生戦略推進費人文・社会科学系ネットワーク型大学院構築事業の一環として「地域/社会課題を解決する対話型ビジネス価値共創人材養成のための価値創発から社会実装までの一貫教育プログラム」(BVCCプログラム)を提供いたします。
本プログラムは、価値創発から社会実装までの一貫した教育プロセスを構築し、その成果をPBLやインターンシップで実際に経験することによって、地域/社会における課題を創造的対話を通して利害関係者とともにビジネス視点で共創的に解決する能力を養成するプログラムです。
プログラム概要
本プログラムは、価値共創の手法として創造的対話を用いて、様々な利害関係者と協力して地域や社会における課題を解決できる対話型ビジネス価値共創人材の養成を目的としています。課題解決のためのアイデアや価値の創発から社会実装までを対象とした一貫教育プログラムを構築し、実際の地域/社会の課題を見出し、それをビジネスの視点から解決できる人材を養成します。
本プログラムでは、経営学の全領域にわたる科目を幅広くそろえる神戸大学に、新規事業化ならびに地域課題の解決に特化したプログラムを持つ小樽商科大学と和歌山大学が加わり、創造的かつ実践的な教育を提供します。
さらに、地域/社会課題の解決に実績と強みをもつ企業や自治体と連携して、共同研究を通じて地域/社会課題を特定し、それをPBLやインターンシップ教育に応用することで、多様なニーズを持つ学生に対して具体的に学ぶ機会を提供し、就職・キャリア支援までを実施します。
プログラムにおける
教育研究テーマ・コンセプトの名称及び概要
様々な地域/社会課題をビジネスの視点から解決するために、利害関係者との創造的対話を通してビジネス価値を共創できる高度経営人材の養成を目的として、次の3つのポイントを中心に教育研究を展開します。
集合知としての
価値共創を行う能力を養成
参加者との創造的対話を通して集合知としての価値共創を行う能力を養成するため、経営学一般に加えて価値創造や対話型の授業科目を取り入れ、価値創発から社会実装までのプロセスを経験できる一貫教育プロセスを構築する。
研究と教育のサイクル
連携企業および自治体と地域/社会課題を共同研究テーマとして設定し、その解決方法をPBL形式の授業として提供することで、研究と教育を同時に進行させる研究と教育のサイクルを確立する。
多様かつ確実な
キャリアパスを実現
連携企業や自治体を中心に、学生に多様なインターンシップの場を提供して学生が身につけた知識やスキルを実際に試す機会を与えることで、学生の価値共創能力を高め、修了者の多様かつ確実なキャリアパスを実現する。
プログラムの
目的と創造的対話
図1:対話による価値共創の仕組み
本プログラムでは、価値創発から社会実装までの一貫した教育プロセスを構築し、その成果をPBLやインターンシップで実際に経験することによって、地域/社会における課題を創造的対話を通して利害関係者とともにビジネス視点で共創的に解決する能力を養成します。
価値創発から社会実装までのプロセスを進めるためには、図1に示すように、「安全な場」を確保し、オープンな「参加者の姿勢」を維持し、「意識を集中」することで、意味が自ずと立ち上がる創造的対話の場を作り、人々がお互いの背景や想い、物語を理解し合い、皆でありたい姿を共有し、自分たちが実現できる主体的な取り組みを生み出していく必要があります。
そこでは雑談でも意見を戦わせる議論でもなく、場を作り、参加者の背景を理解(探求)した上で、あらかじめ決められた計画に沿って進めるのではなく、参加者との創造的対話を通して集合知としての価値共創を実践する力が重要です。
それをビジネスの世界に置き換えれば、価値創発の手法や価値を捉え直す価値そのものに関する知識、現実のビジネス課題の理解、価値を事業として成り立たせる事業化の手法、そしてそれらの知識や理解および手法をもとに価値共創を行うための対話による組織運営力が必要となります。
図2:対話型組織運営力の養成
この対話による組織運営力を、本プログラムでは図2に示すように育成します。
①創造的対話による価値共創の考え方に関する講義(社会実装科目群の事業モデル駆動科目)を通して、考え方や観念的な知識を得る(聞く)、その上で、②実際の価値共創プロセスの実例(社会実装科目群のビジネス課題解決科目)からの学びを通して、実践性のある知識を得る(見る)、そして③PBL(プロジェクト科目群)における対話による価値共創の実践を通して、経験によって学ぶ(試す)。この3つのプロセスによって、対話による組織運営力を育みます。
図3:BVCC演習、インターンのすすめ方
対話型組織を運営する能力は様々な地域/社会課題において活用することができるトランスファラブルなスキルとして活用の範囲は広く、社会における実装の局面で必要とされる力です。本プログラムで養成する対話型ビジネス価値共創人材は、このような能力を身につけて、ビジネス価値を創造できる人材です。
なお、「価値創発」とは価値を生み出す源となるアイデア創出プロセスを指し、「価値共創」はステークホルダーと協力してアイデアを成長させて社会実装にまでつなげる全体プロセスを意味しており、この両側面が対話を通して醸成されることになります。
多様なキャリアパス
のための体制
図4:多様なキャリアパスのための体制
本プログラムが養成する人材は、特定の分野における専門職ばかりではなく、広く社会・産業の様々な分野・場面において必要とされる人材です。具体的には、様々な地域/社会課題の解決を目指して新規事業を行うアントレプレナーや、企業の中で組織の資源を活かして新事業を起こそうとする社内起業家、ファミリー企業や中小企業あるいはNPOで事業を行う次世代経営者、地域/社会の課題解決を専門とするソーシャルアントレプレナーやコンサルタント、自治体で地域/社会課題の解決を試みる公務員などが考えられます。
このような多様なキャリアパスを修了者に確実に提供するために体制整備を行います。図4はその全体イメージです。
※BVCCインターンについては2025年(令和7年)4月以降の実施を目指し、連携機関と協議中の内容を含みます。
連携機関
(専門職大学院)
アントレプレナーシップ専攻
(専門職大学院課程)
本プログラムは、令和6年度より神戸大学大学院経営学研究科経営学専攻・現代経営学専攻(専門職大学院)、小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻(専門職大学院)・現代商学専攻、和歌山大学大学院観光学研究科の参加によって開始し、教育プログラムの修了証は三大学共同で出す予定です。
事業連携機関として、日本全国に幅広い企業ネットワークを持つ株式会社三菱UFJ銀行、中小企業に強みを持つ株式会社日本M&Aセンター、人材育成事業に強みを持つ株式会社インソース、日本の典型的な地域課題を抱える神戸市が参加します。また連携大学(専攻)および連携機関は補助事業年度中に拡大させる方針です。