探究ツーリズムの開発と持続的運営に向けた地域連携体制の構築

メンバー:大城俊和(株式会社FlyspecK)、横田真由美(NPO法人オルタナティブビレッジ)、松嶋登(神戸大学)

探究的な学びは、いまや初等教育から社会人教育までその必要性が広く認識されています。しかしながら、探究的な学びを提供する方法は各地域のコンテキストに深く依存するため、個別具体的な取り組みが求められるとともに、その担い手となる多様な利害関係者を組織化することが不可欠です。本プロジェクトでは、探究的な学びを支える物的・社会的環境を組織化する方法として「探究ツーリズム」の開発を掲げ、これを持続的に提供するための運営体制を整備する地域連携体制の構築を目指します。

第一に、神戸の自然環境を舞台とした探究ツーリズムの開発に取り組みます。六甲山・摩耶山周辺エリアや北区の里山地域を主な活動フィールドとして、小中学生や親子を主な対象とした体験プログラムを開発します。プログラムでは、地域課題と持続可能性を主題に、社会-生態システム(Social-Ecological System)の連関への高い視座の獲得を目指した体験的学習の機会を提供します。将来的には企業研修など社会人への展開も視野に入れ、探究的な学びを必要とする多様な層へのアプローチを図ります。

第二に、探究ツーリズムの持続的な運営を支えるエコシステムの構築を目指します。現状、地域の体験型プログラムは単発・小規模・ボランティアベースの取り組みが中心であり、経済的な持続可能性や地域としての対外的な発信力に課題があります。本プロジェクトでは、大学・民間企業・NPOという異なるセクターが連携する体制を整備し、連携先を段階的に拡大していきます。最終的には、地域OTA(施設や体験プログラムの予約が可能なプラットフォーム)の構築を通じて神戸の自然環境の魅力を広く発信するとともに、関与する担い手の経済的な持続可能性を確保し、地域における探究教育の拡充を目指します。

第三に、本プロジェクトはESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)の推進という政策的文脈とも深く連動しています。ESDは、SDGsの達成に向けた教育的アプローチとして文部科学省および環境省が推進しており、次世代を担う人材が持続可能な社会の構築に主体的に関わる力を育むことを目指しています。神戸は、六甲山系の豊かな自然環境と都市機能が近接して共存する稀有な都市であり、ESDの実践フィールドとして高いポテンシャルを有しています。本プロジェクトでは、こうした神戸固有の地理的・環境的特性を最大限に活かし、自然と都市をつなぐ探究ツーリズムをESDの実践モデルとして構築し、その成果を広く発信することを目指します。

神戸市「森の未来都市 神戸」
https://www.city.kobe.lg.jp/a36279/morinomiraitoshikobe.html

文部科学省「ESD 持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development)」
https://www.mext.go.jp/unesco/004/1339970.htm