伊賀隆賞、第8回が授与されました
伊賀隆賞は、1971年から1990年の19年にわたり神戸大学経営学部経営数学講座の教授として経営数学分野の教育研究に尽力された伊賀隆先生を記念し、神戸大学経営学研究科において経営の数理・数量的研究の分野で優れた研究成果をあげた学生を表彰するものです。伊賀隆先生が2013年2月に亡くなられたおりにご遺族から神戸大学経営学研究科の発展のためにとのご寄付がありましたので、一周忌にあたる2014年3月にこの賞を創設して、毎年課程博士号を授与される学生のうち賞の趣旨に該当する学生があれば1名を選んで表彰し、ご遺族の寄付を基金として副賞を贈呈することにしました。
第8回伊賀隆賞は、“Theoretical and Experimental Studies on Target Setting and the Ratchet Effect”の題目でラチェット効果の研究成果をあげた小山真実さんに授与されました。小山さんの研究は、繰り返し行うチーム生産の計画を立てるとき、最初の生産で働き手の技能を聞き出し、それを次の生産計画に反映させようとすると、働き手は最初から自分の技能を実際より低く偽るラチェット効果が働くが、同じチームで高い技能を持つ働き手と協働することで低い技能の働き手の技能が向上する学習効果が働く状況では、ラチェット効果を抑制する均衡が存在することを、ゲーム理論分析によって明らかにし、さらにその状況を実験室で再現する経済実験を行い、被験者に、理論的に予測されたラチェット効果抑制行動が実際に生じることを確認したものです。授与式は2021年3月24日に経営学研究科長室で行われました。
左から、南 知惠子経営学研究科長、小山真実さん
神戸大学経営学研究科は、経営の数理・数量的研究の分野の優れた教授陣を擁しており、これからもこの分野で優れた研究者を育成し、わが国の経営学の発展に寄与していこうと考えています。伊賀隆賞は、そのような将来有望な研究者に引き続き授与される予定です。