神戸大学経営学研究科長・経営学部長
國部 克彦

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大学での勉強には大きく分けて2つの目的があります。ひとつは知識を身に着けること、もうひとつは知識を使いこなす理論を習得することです。高校までの勉強は、どちらかといえば知識の習得にウェートが置かれてきたと思いますが、大学では知識を使いこなす力を付けることが大切です。これはスポーツにたとえれば、食事をして体調を整えることと、実際に運動をして体を使うことの関係のようなものです。知識は栄養であり、理論は活動するための指針です。この両輪がうまく作動して、はじめて皆さんの知力が向上します。

もう一つ重要なことは、大学では明日役に立つことを学ぶのではなく、遠い将来にまでわたって役に立つ知識や理論を学ぶということです。すぐに役に立つ知識の習得は,最初は達成感があるかもしれませんが、 すぐに役に立たなくなってしまうか、他の人もその知識を習得すれば、社会の中であなたを差別化するためには役に立ってくれません。そうではなくて、大学を卒業してから10年でも、20年でも、場合によっては50年立っても役に立つような知識と理論というものがあり、大学での教育はこのような長期のスパンも見据えて組み立てられています。そのことは図書館に行って多くの昔の書籍に囲まれてみると、身体で感じることでしょう。

皆さんがこれから勉強される「経営学」とは,どういう学問でしょうか。「経営」の「經」は繊維の縦糸が語源で,「營」にはかがり火が建物や場所を囲んでいるイメージがあります。つまり,「經」は過去から未来へ続く時間の流れを表し,「營」は現在の空間を意味していると解釈できます。このように考えれば,「経営」とは,人間の営みが時空を超えて,継続するにはどうすればよいのか考える学問ということができるでしょう。

経営学部の対象は企業です。企業活動とは,有限の生命しか持たない人間が,その活動を時間や空間を超えて拡張し,社会の要求に応える活動と言えます。経営学部は,この企業活動全般について研究し,教育するところです。経営学は実践性と応用性の強い学間ですので,大学で勉強するだけではなく,その内容を社会で実践して初めて生きる面があります。そのことを常に意識して,勉強されることをお勧めします。

皆さんは、学部、大学院、MBAなどの課程に属しておられ、それぞれの課程は所定の年度が過ぎて所定の単位をとれば卒業することになります。しかし、大学教育の真価が発揮されるのは卒業後です。卒業後の皆さんの人生の様々な機会で大学での勉強が生かされることが、私たちにとっての最大の希望です。卒業後も,六甲台のキャンパスはいつでも皆さんに対して開かれています。神戸大学経営学部・経営学研究科の研究資源は、いつまでも皆さんの共通財産です。それを十分に使いこなす力を身につけるためにも、学生時代を有意義に過ごしてほしいです。

2022年4月1日