伊賀隆賞、第11回が授与されました

伊賀隆賞は、1971年から1990年の19年にわたり神戸大学経営学部経営数学講座の教授として経営数学分野の教育研究に尽力された伊賀隆先生を記念し、神戸大学大学院経営学研究科において経営の数理・数量的研究の分野で優れた研究成果をあげた学生を表彰するものです。伊賀隆先生が2013年2月に亡くなられたおりにご遺族から神戸大学大学院経営学研究科の発展のためにとのご寄付がありましたので、一周忌にあたる2014年3月にこの賞を創設して、毎年課程博士号を授与される学生のうち賞の趣旨に該当する学生があれば1名を選んで表彰し、ご遺族の寄付を基金として副賞を贈呈することにしました。

第11回伊賀隆賞は、「Diversification, Complexity and Bank Performance: Evidence from Japan」の題目で、銀行の事業面での多様化が銀行の業績に与える影響を日本の銀行のデータを用いて研究し、優れた成果をあげた伍一昌さんに授与されました。銀行が貸出業務以外に経営資源をいかに配分してその業績を向上させるかという問題があります。伍さんの研究は、日本の銀行のデータを用いて、銀行の事業面での多様化が業績にどのように影響しているかについて(2方向の固定効果を持つ)パネルデータ分析により検討しています。そして、収益構成に基づき計測される多様化も資産構成に基づき計測される多様化も共に純金利マージンを減少させるものの全体の収益性を改善すること、さらに後者は銀行収益の変動を減らすことを明らかにしています。見出された関係が多様化の程度が増すほど弱まることも明らかにしており、そのような関係を生じさせるメカニズムについて、都市銀行や第二地方銀行といった銀行のタイプと関連付けて考察しています。そして、提案されたメカニズムに関連して、費用関数の推定から範囲の経済が日本の銀行業で働いていたかどうか、組織的・業務的・地理的展開に関する銀行の複雑性が業績にどのように影響するかについて実証分析を行いました。日本の最新のデータを丁寧に実証分析することで新たなエビデンスを示していることに加え、得られた結果の背後にあるメカニズムに関する示唆を与えるような、より詳細な分析が行われており、高い水準の研究といえます。

授与式は、2024年3月26日に神戸大学出光佐三記念六甲台講堂で行われた博士号授与式に引き続き、経営学研究科長室で行われました。神戸大学大学院経営学研究科は、経営の数理・数量的研究の分野の優れた教授陣を擁しており、これからもこの分野で優れた研究者を育成し、わが国の経営学の発展に寄与していこうと考えています。伊賀隆賞は、そのような将来有望な研究者に引き続き授与される予定です。

2024年度伊賀隆賞授賞式

2024年度伊賀隆賞授賞式

2024年度伊賀隆賞授賞式左から、國部克彦経営学研究科長、伍一昌さん