伊賀隆賞、第6回が授与されました
伊賀隆賞は、1971年から1990年の19年にわたり神戸大学経営学部経営数学講座の教授として経営数学分野の教育研究に尽力された伊賀隆先生を記念し、神戸大学経営学研究科において経営の数理・数量的研究の分野で優れた研究成果をあげた学生を表彰するものです。伊賀隆先生が2013年2月に亡くなられたおりにご遺族から神戸大学経営学研究科の発展のためにとのご寄付がありましたので、一周忌にあたる2014年3月にこの賞を創設して、毎年課程博士号を授与される学生のうち賞の趣旨に該当する学生があれば1名を選んで表彰し、ご遺族の寄付を基金として副賞を贈呈することにしました。
第6回伊賀隆賞は、「不正会計開示の経済的帰結に関する実証分析」の題目で、わが国の上場企業による不正会計開示の実証研究で優れた成果をあげた尾関規正君に授与されました。尾関君の研究は、手作業によって、2005年から16年の間に自社の不正会計に関する適宜開示を行った全ての事例を特定し、各事例の適宜開示を第一報、決算遅延、第三者委員会設置、調査報告、短信訂正等々の段階ごとに追って、東京証券取引所適宜開示情報伝達システムの開示報告書を調べることで、不正会計の様態、手口、不正開示プロセス、不正対応のデータセットを作成して、不正会計開示が当該企業の不正開示プロセスを通しての市場評価と長期的な経済的帰結とに与える影響を統計的に明らかにした研究です。仮説の立証に必要なデータセットを地道に構築したことが研究成果につながりました。授与式は、2019年3月25日に神戸大学出光佐三記念六甲台講堂で行われた博士号授与式に引き続き、経営学研究科長室で行われました。
左から、上林憲雄経営学研究科長、尾関規正君
神戸大学経営学研究科は、経営の数理・数量的研究の分野の優れた教授陣を擁しており、これからもこの分野で優れた研究者を育成し、わが国の経営学の発展に寄与していこうと考えています。伊賀隆賞は、そのような将来有望な研究者に引き続き授与される予定です。