神戸大学ホノルル拠点(HOKU)ワークショップ2019「幸せ・生き活きな超高齢化社会への学際的アプローチ」開催のご報告
第2回神戸大学ホノルル拠点(HOKU)ワークショップ2019「充実した生き活きな超高齢化社会への学際融合的アプローチ:医療健康マネジメント、持続的経済発展と「人情」社会=Inter-disciplinary Approach to the Successful Aging Society: Medical health management, sustainable economic growth and humanity society」を、2019 年11月1日に神戸大学ホノルル拠点(Honolulu Office of Kobe University, JAIMS, Honolulu, Hawaii, USA)にて開催しました。
サクセスフル・エイジングという概念には長寿(longevity)、健康(health, lack of disability)と幸福感・満足(life satisfaction, happiness)の三つの要素が包括されています。今回のワークショップは「Inter-disciplinary Approach to the Successful Aging Society」を共通テーマとし、医療サービスの日米比較、介護サービスの選択行動、そして、家族・世代間・コミュニティーにおける社会的資源のマネジメントといった学際融合的なアプローチで超高齢化社会の諸問題とその解決案を深く思考する場として企画され、開催しました。このワークショップは、平成31年度「神戸大学国際交流事業」に係る国際交流促進事業助成の支援を得て開催しました。
Title and Speaker
- Opportunities of Aged Social and Successful Aging
Lin HUANG (Professor, Graduate School of Business Administration, Senior Executive Director of the Center for Asian Academic Collaboration, Kobe University) - Human Resource Management in Japanese Hospitals
Takuro TSUKUBE (MD, PhD, MBA. Chief in Cardiovascular Center, Japanese Red Cross Kobe Hospital, Clinical Professor, Graduate School of Medicine, Lecturer, Graduate School of Business Administration, Kobe University) - Home Production and Long Term Elderly Caring
Yunfang HU (Professor, Graduate School of Economics, Kobe University) - Comment: Discussion from the perspective of the United States and China
Qimei Chen (Ph.D. Associate Dean for Academic Affairs, Professor, Shidler College of Business, University of Hawaii at Manoa)
報告の概要
- 黄 磷(神戸大学大学院経営学研究科 教授)は、「高齢化社会の現実とサクセスフル・エイジングの可能性」をテーマに、超高齢化社会を迎えた日本と急速に超高齢化社会へと突き進む中国の現実を論じ、その課題解決のために学際融合的なアプローチの必要性と可能性について報告しました。
- 築部 卓郎(神戸赤十字病院心臓血管外科部長、神戸大学医学部臨床教授、同大学院経営学研究科非常勤講師)は、「日本の病院における人的資源管理」をテーマに、日本の国民皆保険制度の長所および医療サービス水準の高さについて国際比較の視点から詳細なデータをもって説明するとともに、日本の病院が高品質な医療サービスを維持し続けるうえで直面する課題と問題点について報告しました。
- 胡 雲芳(神戸大学大学院経済学研究科 教授)は、「Home Production and Long Term Elderly Caring」を論題とし、家族などによる非公式な在宅介護への補助を通じて政府への依存度を低下させる効果、また、非公式な在宅介護と介護サービスへの補助の組み合わせがもたらす福祉の利益に関する研究結果を報告しました。
- Qimei CHEN(Ph.D. ハワイ大学マノア校 Shidler College of Business マーケティング教授、Associate Dean for Academic Affairs)は、アメリカ合衆国や中国と比較しながら、日本の医療保険制度と医療サービスの特徴や評価などについてコメントし、活発な議論を行いました。
今回のワークショップの企画段階では、中国における社区(コミュニティーや地域社会)をベースにした社会保障サービス、そして中国の三世代間における消費についての報告が予定されていましたが、米国への渡航ビザ申請に予想以上の時間が掛かり、中国からの研究者がワークショップへの出席を断念せざるを得ませんでした。このため、「人情」という社会的資源を超高齢化社会の課題解決にどのように活用するのかについての議論は、次回のワークショップに持ち越されました。
詳細はプログラムをご覧ください。