財務会計講義(第10版)

著者名 桜井久勝 著
タイトル 財務会計講義(第10版)
出版社 中央経済社 2009年4月
価格 4000円 税別

書評

近年、日本の会計制度はめまぐるしく改正を重ねてきました。なかでも2006年から施行されている会社法、および従来の証券取引法を改編して2008年4月から全面適用となった金融商品取引法は、企業の利益測定と財務報告に大きな変革をもたらしました。着々と進行する金融ビッグバンのもと、投資家に自己責任を求める前提として、企業の実態を的確に表す透明度の高い財務諸表の公開を促進すべく、会計基準の整備がはかられてきたのです。また会計基準の国際的な統合をめざして進行するグローバリズムに適応するための変革も精力的に推進されています。

そこで本書も、これらの新展開を織り込んで最新の財務会計を解説すべく、旧版を大幅に改訂して第10版としました。この版で解説に織り込まれている新しい会計基準は次のとおりです。

第1に、2009年4月以降開始の年度から強制適用される次の事項に関する新基準を解説しています。工事契約の会計(企業会計基準第15号)、金融商品の時価評価の拡大(第10号)、賃貸等不動産の時価開示(第20号)がそれです。

第2に、2010年4月以降開始年度からの強制適用が予定されている次の事項に関する会計基準の新設や改正も、適用期日を明記して第10版での解説に反映させました。これらの多くは2009年4月以降の開始年度からの早期適用が許容されています。これに該当する会計基準は、棚卸資産に関する後入先出法の廃止(企業会計基準第9号)、資産除去債務の認識(第18号)、企業結合の会計基準の改定(第21号)、事業分離の会計基準の改定(第7号)、連結財務諸表に関する会計基準(第22号)、持分法(第16号)、組織再編で取得した仕掛研究開発費の処理(第23号)、セグメント情報(第17号)です。

本書は、著者が神戸大学で開講する財務会計の講義用のテキストとして出版したものですが、企業会計を細部まで体系的に理解しようとするビジネスマンにも有益です。また公認会計士・税理士・証券アナリストなど、各種の資格試験の受験用参考書としても役立つように配慮しています。

目次

第1章 財務会計の機能と制度
第2章 利益計算の仕組み
第3章 会計理論と会計基準
第4章 利益計算と資産評価の基本原則
第5章 現金預金と有価証券
第6章 売上高と売上債権
第7章 棚卸資産と売上原価
第8章 有形固定資産と減価償却
第9章 無形固定資産と繰延資産
第10章 負債
第11章 株主資本と純資産
第12章 財務諸表の作成と公開
第13章 連結財務諸表
第14章 外貨建取引等の換算