配当政策のパズル:投資家の消費選好と利害対立

著者名 森直哉(著)
タイトル 『配当政策のパズル:投資家の消費選好と利害対立』
出版社 中央経済社 2017年10月
価格 3996円 税込

紹介

 なぜ投資家は配当を欲しがるのか。なぜ企業は配当を支払うのか。不可解な現象である。個人投資家にとっては税負担が大きくなるため、実を言うと、税の節約のためには少ないほうが望ましい。
 このパズルを解明するために、過去何10年間にわたって、数多くのファイナンス学者が様々な理論を提示してきた。配当には、税負担のデメリットを打ち消すぐらいのメリットが存在しているはずだという。しかし、まだパズルは完全な形では解明されていない。
 ファイナンスの理論的なモデルは、ボールを投げる実験のようなものである。真空状態ならばボールは単純に放物線を描く。この結果を踏まえて、次は空気抵抗や横風が及ぼす影響を調べ、徐々に現実の世界に近づけていく。
 本書は、筆者なりの新しい視点を取り入れて、いろいろな実験室でボールを投げてみた結果のコレクションである。何が原因となってボールがどのように動くのか(学術的な関心)、どのようにボールを投げればよいのか(実務への指針)、さらには、どのような場所を用意すればボールを投げやすくなるのか(資本市場の制度設計に対する提言)を示唆する。
 配当政策のパズルに対するひとつの解であり、問題提起でもある。

【目次】

はじめに
序章 パズルの全体像

第Ⅰ部 なぜ、どのように投資家は配当を欲しがるのか
第1章 基礎的なモデルと配当パズル
第2章 税の顧客効果
第3章 消費の顧客効果

第Ⅱ部 なぜ、どのように企業は配当を支払うのか
第4章 リスク分散と配当政策
第5章 配当と自社株買い
第6章 配当と増資
第7章 配当とモニタリング

第Ⅲ部 どのように資本市場を設計すべきか
第8章 配当再投資プランの本質
第9章 配当再投資プランと情報の非対称性
第10章 株式配当の本質
第11章 配当オプション

おわりに:ひとつの解法