保守主義会計-実態と経済的機能の実証分析-

 

著者名 髙田 知実(著)
タイトル 『保守主義会計-実態と経済的機能の実証分析-』
出版社 中央経済社 2021年9月
価格 4840円 税込

紹介

本書の目的は、財務会計において概念的には重要性が認識されながらも、批判の対象になることも多い「保守主義」の存在理由を明らかにすることです。この目的を達成するため、主として日本企業のデータを用い、保守主義の実態と経済的機能に関する定量的な分析を行いました。
本書を通じて保守主義に関する理解が深まることで、財務会計の経済的機能が再確認されることになれば幸いです。

目次

序章 問題提起と本書の構成
 1 本書の目的と議論の背景
 2 本書における保守主義の定義
 3 保守主義に関する論点整理と本書での分析アプローチ
 4 本書の構成

部 保守主義会計の実態に関する分析
第1章 保守主義の定量化
 1 本章の目的と構成
 2 Basuモデル
   2.1 逆回帰(reverse regression)モデルによる定量化
   2.2 Basuモデルの構造
   2.3 保守主義会計の事例
   2.4 K&Wモデル
 3 Basuモデル以外の定量化モデルと指標
   3.1 利益変化モデル
   3.2 B&Sモデル
   3.3 Givoly and Hayn (2000) による保守主義の指標
 4 要約
 補論1 Basuモデルの導出
 補論2 Basuモデルの有効性に関する議論
 補論3 無条件保守主義の定量化と条件付保守主義との関係

第2章 日本企業における保守主義
 1 本章の目的と構成
 2 モデルに基づく保守主義の定量化
   2.1 分析モデルと期間
   2.2 Basuモデル
   2.3 利益変化モデル
   2.4 結果の要約
 3 保守主義と財務変数
   3.1 利益変数と損失計上
   3.2 特別損益項目
   3.3 会計発生高
   3.4 各指標の相関関係
 4 K&Wモデルの適用
   4.1 期待される結果
   4.2 基本統計量
   4.3 推定結果
 5 要約
 補論 CスコアとBasuモデルの関係

第3章 保守主義の国際比較分析
 1 本章の目的と構成
 2 先行研究のレビュー
   2.1 Ball et al. (2000) の研究
   2.2 制度的要因
   2.3 欧州における比較分析
   2.4 企業レベルの動機が及ぼす影響
 3 分析内容
   3.1 分析の前提
   3.2 分析モデルとサンプル
 4 分析結果
   4.1 国ごとの推定結果
   4.2 各国における年ごとの推定結果
   4.3 Ball et al. (2000) との比較
 5 要約

部 保守主義会計の経済的機能に関する実証分析
第4章 先行研究のレビュー
 1 本章の目的と構成
 2 保守主義の経済的機能に関する説明理論
   2.1 債務契約における機能
   2.2 投資の効率性に及ぼす影響
   2.3 その他の機能
 3 債務契約における保守主義の機能
   3.1 債務契約における事後的機能
   3.2 債務契約における事前的機能
   3.3 その他の政策との代替的関係
 4 コーポレート・ガバナンスにおける保守主義の機能
   4.1 株式保有を通じたガバナンス
   4.2 企業内部のガバナンス環境
   4.3 外部監査によるガバナンス
 5 要約

第5章 日本企業における債務契約と保守主義
 1 本章の目的と構成
 2 配当の決定と保守主義
   2.1 日本企業における配当政策
   2.2 分析内容とサンプル
   2.3 分析結果
 3 銀行からの借入れと保守主義
   3.1 日本企業における銀行借入れ
   3.2 分析内容とサンプル
   3.3 分析結果
   3.4 メインバンクの特徴を考慮した分析
 4 要約

第6章 日本企業におけるコーポレート・ガバナンスと保守主義
 1 本章の目的と構成
 2 日本企業におけるガバナンスの特徴
   2.1 ガバナンス改革
   2.2 会計・監査制度の改革
   2.3 外部監査の実務変遷
 3 ガバナンス要因と保守主義の関係
   3.1 株式所有構造
   3.2 取締役会の特徴
   3.3 外部監査の特徴
 4 分析モデルとサンプル
 5 分析結果
   5.1 基本統計量
   5.2 ガバナンス変数の推定結果
   5.3 ガバナンス因子の推定結果
 6 要約

終章 結論と課題
 1 本書での発見事項
 2 貢献と課題