製品・ブランド戦略 -現代のマーケティング戦略(1)-


著書名 栗木契 著 (第5章) 青木幸弘 恩蔵直人 編
タイトル 製品・ブランド戦略 -現代のマーケティング戦略(1)-
出版社 有斐閣 2004年9月
価格 1900円 税別

書評

本書は、入門書と専門的研究書との橋渡しをねらいとしたマーケティング4巻シリーズの1冊である。顧客価値の中核部分ともいえる「製品・ブランド」について、製品戦略とブランド戦略のどちらか一方に偏るのではなく、バランスよく今日的視点を提供しようとしている。

第5 章では、マーケティングにおけるブランドの役割(ブランド価値)が検討される。ブランド・マネジメントはマーケティングの総力戦となるが、その際には多岐に渡るブランドの機能(マーケティングにブランドが貢献するメカニズム)のなかで、何を活用し育成しようとしているのかを明確に認識しておかなければならない。なぜなら、ブランド・マネジメントは多様な可能性を含むため、そのなかの何を自社が実現しようとしているのかを明確にしておかないと、散漫で効果の薄い取り組みになりがちなのである。効果的なブランド・マネジメントの実現には、本章が提示する「マーケティング価値の全体的構図」の把握が欠かせないはずである。

目次

第 1 章 製品・ブランド戦略と価値創造
-「売れ続ける仕組みづくり」をめざして-

第 2 章 新製品開発のマーケティング
-新製品の成功確率を上げる新製品開発-

第 3 章 製品開発における顧客志向と顧客代行
-コモディティ化を乗り越える製品開発-

第 4 章 戦略的アライアンスと製品開発
-複数の組織による共同開発-

第 5 章 ブランド価値のデザイン
-ブランドを基軸とした売れる仕組みのメカニズム-

第 6 章 ブランド要素戦略
-ブランド戦略の実践手段-

第 7 章 サービスのブランド戦略
-ブランドの構築と従業員・顧客の吸引・活性化-

第 8 章 ブランドと経験価値
-「経験」を中核としたブランド・デザイニング-

第 9 章 ブランド・ケイパビリティ
-強いブランドを構築する組織能力-

第 10 章 ブランド・マネジメント組織の現状と課題
-ブランド構築の仕組みづくり-

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