有事対応コミュニケーション力 (生きる技術!叢書)
著者名 | 鷲田清一 内田樹 上杉隆 岩田健太郎 藏本一也 著 |
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タイトル | 有事対応コミュニケーション力 (生きる技術!叢書) |
出版社 | 技術評論社 2011年11月 |
価格 | 1344円 税込 |
書評
未曽有の大震災の現場でなおも有効な言葉の力とは?
「非常事態」のプロ5者による徹底討議
未曽有の大災害に見舞われたとき、生き延びられるかどうかのカギを握るのは、言葉の力、コミュニケーションの力である。臨床哲学、武道、ジャーナリズム、医療、危機管理などそれぞれ「待ったなし」の現場を持つ5人のプロフェッショナルが、危機の現場でもなお有効な言葉の力とは? 真偽当否定めがたい雑多な情報からどれを選択しどう判断するか? ポスト3.11の日本が進むべき道は?
……などについて徹底討論。これから生きていくための、総合的情報力のヒントがここに。
※本書は2011年6月12日(日)に神戸市で開催されました「災害時のリスクとコミュニケーションを考えるチャリティー・シンポジウム」を書籍化したもので、収益は全て被災地の支援のために寄付されます。
目次
ACT1 情報の隠蔽と「メディアの裏」を読む力
政府のコミュニケーション対応はどうだったか
とんでもない情報隠蔽が行われていた
情報のオルタナティブを持つこと
メディア関係者の身体実感の情報
本当に起きていることを推察する能力
記者として,人間としておかしくはないか
端的に言って卑怯である
プロの言葉の信頼がガタ落ちに
政治家たちも情報を持っていない
記者も専門家も真実を話すと降ろされる
そして危険だと言う人はいなくなった
ACT2 情報格差社会に歯止めを
日本人全員が関係者になってしまった
「加害者であること」の呪縛
批判はできなくてもクレームはつける
若い母親たちは抑制などしていられない
普通に声をあげていけばいい
なぜ自分の判断で決められないのか
もとになるデータを出せ
海外には流す情報を国民には知らせない
既存メディアが邪魔をする
急激に進む情報の階層化
情報の無政府状態が起きる
大量発生する情報難民
情報のセカンドオピニオン
信頼できる科学者は口ごもる
ぐずぐずしている権利を認めよ
科学的ステートメントとポリティカルステートメントは分ける
もとになるデータがなければ判断できない
マスコミに対する信頼回復のためには
ACT3 3・11で顕在化したメディアの病理
利益相反の問題
電事連がつぎ込む巨額の広告費
お詫び広告打つくらいなら被災者を救え
戦時中の大本営発表と同じ構造
ラジオのジャーナリズム性が高い理由
ラジオはカジュアルなメディア
音声メディアはしっかり中身が伝わる
ラジオとツイッターが震災直後のライフラインに
なぜインターネットを目の敵にする?
テレビ局ごとの役割分担を
テレビは終わった
こうして被災地に「上を向いて歩こう」は流れた
現場に行かない日本のジャーナリストたち
ジャーナリストにとっての現場はたくさんある
現場に行かなければわからない
情報を公開すればパニックにはならない
じつはすべてお金の話
命の話をしているところが金の話に
新しいものに向かうことに対する恐怖心
ACT4 「右肩上がり」的発想からの転換
問題が露顕したのはむしろ東京
家に帰れないというのはおかしい
防災は無理,できるのは減災
体は動かし,問いは深いところで受けとめる
悪い情報は出してしまおう
どうしたら事故は起きないのかの議論
危険を察知するセンサーが働く
死臭を感じとることのできる看護師
異変を察知する能力の研究
縮小する感覚がわからない
30歳以上はサポートにまわれ
次の世代,次の次の世代のことを案じる
発想の転換はせざるを得ない
4月4日以降,日本は加害者になった
放射能と一緒に暮らすための三つの提案
次世代のために想像力を働かせる
リスク・マネジメントの欠如
そこにある以上,ともに生きるしかない
戦後の繁栄と安全の代償として
海産物調査の問題
子どもと若い女性だけは守る
補稿
「隔たり」は増幅するばかり 鷲田清一
「疎開」のすすめ 内田樹
メルトダウンする言葉 内田樹
Don’t trust over 30 岩田健太郎