企業とガバナンス 第2巻 リーディングス 日本の企業システム 第II期
著者名 | 加護野忠男 三品和広 他 |
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タイトル | 企業とガバナンス 第2巻 リーディングス 日本の企業システム 第II期 |
出版社 | 有斐閣 2005年12月 |
価格 | 2800円 税別 |
書評
この本は、日本を代表する経営学者や経済学者が一堂に会して、日本企業のガバナンスについて論じるという形をとっています。シリーズの企画を立てた出版社の常務さんが、印刷所から出てきたばかりの本書を手にとって、しばし感慨に耽ったということからもわかるように、なかなかの力作です。私の担当章はともかく、他の章のことを考えると、お買い得と言ってよいでしょう。
目次
第一章:岩井克人「株式会社の本質」
第二章:藤田友敬「企業の本質と法律学」
第三章:伊藤秀史「企業の境界と経済理論」
第四章:星岳雄「系列金融の経済学」
第五章:青木昌彦ほか「関係の束としてのメインバンク・システム」
第六章:花崎正晴・堀内昭義「日本の金融システムは効率的だったのか?」
第七章:宮島英昭「状態依存型ガバナンスの進化と変容」
第八章:宮本又郎・阿部武司「会社制度成立期のコーポレート・ガバナンス」
第九章:岡崎哲二「持株会社と銀行」
第十章: 加護野忠男 「企業統治と競争力」
第十一章: 延岡健太郎・田中一弘 「トップ・マネジメントの戦略的意思決定能力」
第十二章: 三品和広 「企業戦略の不全症」
第十三章:伊丹敬之「トップ・マネジメントと企業の適応力」
あらためて本の構成をこうして再現してみると、何とも迫力溢れる陣容です。大学院や学部専門課程で使われる教科書または参考書としては、一つの頂点という気がします。特に研究テーマを探し求めている人は、これをフロントカバーからバックカバーまで熟読すれば、きっと何か見つかるでしょう。それだけ硬派の本に仕上がっています。
そういう本の終盤三章を、神戸大学の教員が担当しています。西の高商として、何とか役割を果たしたというところでしょうか。ただし、私自身の担当章は、一橋ビジネスレビューからの転用です。本全体がこういう性格に仕上がるなら、もっと大幅に書き直せばよかったというのが正直なところです。今となっては後の祭りですが、気合いの入った論文は、また別に書くことにします。今回は、他の章に免じて勘弁して下さい。