財務諸表監査の考え方


著者名 内藤文雄
タイトル 財務諸表監査の考え方
出版社 株式会社税務経理協会 2004年2月
価格 3570円 税別

書評

本書は、わが国における財務諸表監査についてその基本的な考え方を説明するテキストである。資本主義経済が発展するためには、経済資源が有効かつ効率的に配分され利用されることが社会の仕組みとして確保されていることが必要である。この仕組みの一つが、ディスクロージャー制度である。企業が作成する財務諸表等の会計情報の信頼性を保証する監査、すなわち財務諸表監査はその中心的な役割を担っている。

会計情報の作成者は、自らが作成する会計情報が正しいことを財務諸表監査によって確かめてもらうことによって、企業内容開示をきちんと行うことができ、それによって、事業活動資金の調達を円滑に行えたり、あるいは企業イメージやブランドの向上といったベネフィットを得る。他方、会計情報の利用者は、財務諸表監査の結果を利用して、自らが行うさまざまな意思決定に用いる会計情報が正しいとわかれば、安心して意思決定を行うことができ、誤った情報によって意思決定を誤り、損害をこうむることがないという意味で保護される。

以上のような役立ちは、財務諸表監査を行う資格を国から与えられた公認会計士または監査法人が監査人として、一般に公正妥当と認められる監査の基準と呼ばれるルールにしたがって監査を行うことによって現実のものになる。本書は、このルールの内容や意図するところを「財務諸表監査の考え方」として説明している。財務諸表監査に対して過度の期待を抱いたり、あるいは過小な役割分担と責任を設定してしまったりするようなことがないように、財務諸表監査の考え方を十分に理解しておかなければならない。

目次

第1章 監査の意義と枠組み
第2章 監査の歴史的発展
第3章 わが国の監査制度
第4章 会計監査の機能と監査基準
第5章 監査リスクとリスク・アプローチ
第6章 経営環境・内部統制の評価とリスク・アプローチの全体的構図
第7章 監査の実施方法
第8章 監査結果の報告
第9章 監査における立証命題の構成
第10章 会計情報の信頼性と監査の保証水準
第11章 連結会計監査
第12章 中間監査

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