組織を動かす最強のマネジメント心理学 -組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法-


組織を動かす最強のマネジメント心理学 −組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法− カバー写真
教官名 金井 壽宏 教授
タイトル 組織を動かす最強のマネジメント心理学 −組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法−
出版社 中経出版 
2002年4月
価格 1400円 税別

書評

 経営学には、経済学も社会学も心理学も応用されていますが、心理学の貢献も著しいです。モティベーション、リーダーシップ、キャリア、組織変革の分野ではその貢献がよく目立ちます。もちろん、同じくリーダーシップといっても、心理学的なアプローチだけでなく、社会学的なもの、人類学的なものがあります(キャリアの研究でさえ、社会学の制度論からのアプローチがあります)。

 ひとは、ものごとを成し遂げたいと思うものです。その思いの強さは達成動機として測定される。達成動機の高いひとのほうが、それが低いひとよりも事業を興すことが多い傾向があります。さらにいえば、達成動機の高い人びとがいっぱいいる国は、経済も発展しています。かつて、ハーバード大学のデイビッド・マクレランドは、そんな風に主張しました。

 グループや組織や社会の活力もその大元は、個人のエナジーです。体力等の物理的エナジーも大事だが、気持ちも充実していないとだめです。心的エナジーという言葉は、M.チクセントミハイを例外とすれば、あまり使用されることのない概念です。しかし、本書では思い切って、こんなにたいへんな時代だからこそ、元気づけ、エナジーの高揚にかかわる議論からマネジメント論を試みました。けっして厳密な心理学にはなっていませんが、組織と働く個人の元気づけに心的エナジーの視点が少しは貢献できたらうれしいです。