「はげまし」の経営学


「はげまし」の経営学 カバー写真
教官名 金井 壽宏 教授
タイトル 「はげまし」の経営学
出版社

宝島社新書 
2002年3月

価格 700円 税別

書評

 よい経営は、ひとの元気をそぐものではなく、その逆でないといけないと思います。しかし、経営のなかでも管理と名の付く分野、経営管理も労務管理もひとを型にはめて窒息させるような響きがあります。もしも、わざわざ意図的におこなわれているマネジメントが、その場で働くひとに、なーんにもいいものをもたらしていなかったら、それは非常に情けないことで大問題です。

 わたしたちは、大学に勤務していて、仕事時間の半分を研究、残りの半分を教育に費やしているのです。大学でおこなわれていることは、役に立たないという声もよく聞きます。でも、そんななかで、われわれ経営学者の研究や教育が結果において、調査対象組織の人びとや、学生や研修の受講生など教育の場で出会ったひとにポジティブな影響があったら、とてもうれしいです。もっとも、研究をスタートする時点から、元気づけることやはげますことが目的になっているとは限りません。そういうことはむしろ稀です。本書では、わたしが研究目的で書いてきたもののなかから、経営の現場にいるひとへのはげましとなる調査研究を選んで、一般向けにわかりやすく説明しなおしたものが素材になって編集されています。研究論文のままだと、目にふれにくいし、まちがって目にふれても、とても読みにくかったりします。だから、ちょっと軽すぎるかもしれませんが、このような新書の形で、目にふれやすく、読みやすい形になったことを喜んでいます。とりあげたトピックのいくつかが、ミドルの元気づけ、それを通じての若手の元気づけにも貢献できるところがあったらと祈っています。