新興市場戦略論-グローバル・ネットワークとマーケティング・イノベーション-


著者名 黄 磷
タイトル 新興市場戦略論-グローバル・ネットワークとマーケティング・イノベーション-
出版社 千倉書房 2003年6月
価格 4400円 税別

受賞歴

日本商業学会学会賞受賞(平成16年5月)
国際ビジネス研究学会学会賞受賞(平成16年11月)

書評

 新興市場の中国での戦略課題をグローバル・マーケティングの視角で解明し、日本企業のグローバル競争力を再構築するための指針と道筋を示すことが本書の目的である。日米欧企業の戦略展開とマーケティグ活動を継続的なフィールド調査とアンケート調査のデータに基づいて詳細に分析し、グローバル・マーケティング理論の体系化を目指している。

本書では、企業を「資源の連鎖」と「付加価値活動の連鎖」とともに「関係の連鎖」としてとらえ、グローバル・ネットワーク化した企業という現実を明確に認識したうえで、グローバル・ネットワーク化した企業の市場行動を分析するための新しい理論枠組みを提示し、それに基づいて既存理論と実証研究の蓄積を批判的に検討したうえで整理し、中国における日米欧企業の戦略展開とマーケティング活動を多様な角度から実証分析している。

先行研究の蓄積を検討するなかで、マーケティング資源、戦略志向や創造的適応などの概念を提示している。グローバル・マーケティングの問題領域と理論体系を明らかにしようとしている。また、資源の国際移転と企業内部での資源管理問題をグローバル・ネットワークにおける資源の展開問題として捉え直して、多様で急激に変化する市場環境のもとでの資源の移転、取得と創出といった展開の有効性を支えるグローバル・ネットワークの柔軟性と創発性の実現問題を解明しようとしている。さらに、本書では、グローバル・マーケティング理論の基本課題を、世界規模の効率性問題のみならず、多様性の満ちた世界市場への現地適応、ダイナミックに変化する市場環境に対応する柔軟性、そして異質で常に変化する市場環境との相互作用のなかで創発されるイノベーションの問題として定式化している。

目次

はしがき

序章 目的、対象と方法

第1章 グローバル・マーケティングの理論視角

第2章 グローバル・マーケティングの理論と課題

第3章 新興市場とグローバル競争

第4章 参入動機の変化と参入形態の選択

第5章 現地市場での資源展開プロセス

第6章 グローバル・ネットワークの発展プロセス

第7章 中国現地法人の経営業績