売れる仕掛けはこうしてつくる-成功企業のマーケティング
著者名 | 栗木契 余田拓郎 清水信年 編 |
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タイトル | 売れる仕掛けはこうしてつくる-成功企業のマーケティング |
出版社 | 日本経済新聞社 2006年12月 |
価格 | 1800円 税別 |
書評
現実味のあるケースと対話しながら、基本に立ち返ってマーケティングの問題を再考したい。このような意欲を持つビジネスマンや学生の方を対象に、本書は執筆されています。
マーケティングの難しさは、テキスト(教科書)どおりにプランを作成して実行すれば、いつもうまくいく… とは限らないことです。マーケティングの答えは一つではありません。マーケティングは常に偶有的です。マーケティングの問題は、いま自分が置かれている状況や文脈を、どのようにとらえるかによって、見え方も解決方法も異なってきます。
本書では、こうした偶有性の問題を意識して、マーケティングを「状況や文脈と一体となって機能する仕組みや仕掛け」として解き明かすことに努めました。「ケースに即してロジックを語る」というアプローチをとったのも、そのためです。
なお、一口にマーケティングといっても、問題となるテーマや、議論のフレームワークは多岐に渡ります。そこで、本書では、現代の標準的なマーケティング・テキストが扱う主要なテーマをバランスよくカバーすることに留意しながら、「ファブリーズ」「へルシア」「フィット」など14のケースを選択しました。
本書に収録したケースの作成プロジェクトは、私が経営学研究科の大学院(一般コース)で開講した授業を母体にスタートしました。当時はM1だったプロジェクト参加メンバーの多くも、今は博士後期課程の大学院生、あるいは社会人となっています。彼(女)らとの共同プロジェクトを、このようなかたちで世に問うことができたことを、とても嬉しく思っています。
目次
第Ⅰ部 これまでにない市場をつくる-マーケティング・マネジメント
1 「いい製品」だけでは売れない-ニッチでの成功をテコに市場をこじあける(ファブリーズ)
2 弱点を武器にする-制約条件を逆手にとって4Pを組み立てる(へルシア緑茶)
3 原石は磨かなければ光らない-製品開発プロセスでコンセプトを鍛える(フィット)
4 伝えるための戦略-ひとめでよさがわかる仕掛けをつくる(エア・ジョーダン)
第Ⅱ部 市場づくりの後ろ盾-事業組織のマネジメント
5 目のつけどころと決断-経営資源配分で他社に先行する(シャープ)
6 われわれは何をする会社なのか-「事業の定義」は未来を変える(TSUTAYA)
第Ⅲ部 市場との関係を強みに変える-市場の論理
7 消費者志向とは何か-柔軟な組織が市場との対話を生む(ユニクロ)
8 道はひとつではない-差別化で競争を回避する(オオゼキ)
9 安くても儲かる仕組み-取引先との関係が強みをつくる(ファミコン)
第Ⅳ部 絶えず変わり続ける市場への対応-市場と事業のダイナミクス
10 自分の土俵を見失わない-競争という創造的な対話を続ける(マクドナルドvsモスバーガー)
11 逆境のなかに可能性を見出す-再成長のマーケティング(ハイチオールC)
第Ⅴ部 他の追随を許さない強みを築く-市場資源構築のマネジメント
12 SPAの仕組みで稼ぐ-「商品の魅力」だけでは儲からない(ワールド)
13 顧客満足で稼ぐ-あふれる笑顔も仕組みから(ノードストローム)
14 ブランドで稼ぐ-思い出とイメージの器を生かす(タイムスリップグリコ)