投資家行動の実証分析-マーケット・マイクロストラクチャーに基づく会計学研究
著者名 | 音川和久 |
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タイトル | 投資家行動の実証分析-マーケット・マイクロストラクチャーに基づく会計学研究 |
出版社 | 中央経済社 2009年3月 |
価格 | 3800円 税別 |
書評
金融商品取引法などの法律制度に基づく財務会計の目的は、投資意思決定にとって有用な企業情報をすべての投資家に対して広く開示することです。それによって、個人投資家や機関投資家など、証券市場に参加する様々な投資家の間に存在する情報の非対称性を改善し、公正かつ透明な証券市場を確立することが期待されています。本書では、マーケット・マイクロストラクチャーと呼ばれる研究分野の分析手法を援用して、投資家の間に存在する情報の非対称性や、小口投資家および大口投資家の株式売買行動を実証的に解明することを試みています。
マーケット・マイクロストラクチャーは、明示的な取引ルールのもとで資産を交換するプロセスやその帰結を研究する分野であり、ティック・データなどの高頻度データの利用に伴って、最近めざましい発展を遂げている研究分野です。そのため、本書ではまず、分析対象である東京証券取引所の市場構造と取引ルール、および実証分析において使用したティック・データの概要を説明しました。さらに、本書では、マーケット・マイクロストラクチャーの分析手法を援用した会計学の文献を詳細にレビューするように努めました。その上で、本書では、企業による財務報告の一環として行われる利益発表に焦点を当てながら、利益発表に対する投資家の株式売買行動について2つの視点から実証分析を展開しました。1つは、数量のみを指定した成行注文の分析で、もう1つは、価格と数量の両方を指定した指値注文の分析です。
目次
第1章 本書の目的と構成
第2章 ティック・データを用いた投資家行動の研究:文献サーベイ
第3章 その他の高頻度データを用いた投資家行動の研究:文献サーベイ
第4章 利益発表と出来高反応
第5章 利益発表と出来高反応の方向
第6章 利益発表と投資家別の反応
第7章 ビッド・アスク・スプレッドの短期分析:文献サーベイ
第8章 ビッド・アスク・スプレッドの長期分析:文献サーベイ
第9章 ビッド・アスク・スプレッドの国際分析:文献サーベイ
第10章 利益発表と情報の非対称性
第11章 結論と展望