働くみんなのモティベーション論
著者名 | 金井壽宏 |
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タイトル | 働くみんなのモティベーション論 |
出版社 | NTT出版 2006年10月 |
価格 | 1800円 税別 |
書評
やる気、意欲、動機づけなどと訳されるが、モティべーション論は経営学のなかの経営管理論や組織行動論の主要トピックであったはずなのに、ここのところ学会で議論されることも少なく、また、出版界でも、研究ベースの書籍が長らく見あたらない状態が続いていた。
わたしにとって、ワーク・モティべーション(仕事意欲)というのは、修士論文以来のテーマであるので、なんとかこの閉塞状態を抜けようという意気込みでこの書物を書き始めた。
あらためて、このテーマの難しさを思い知った。実務的に重要な問題に、今の経営学が十分に対応できていないことを恥じた。この両方の点から、一生懸命に取り組んだつもりだが、書き終えて、まだまだわからないことが多いという気持ちが残っている。
一里塚だが、この本をきっかけに、読者の皆さんとともに、現実に使える実践的モティべーション理論の発掘の旅のために、フィールドに出たいと思う。
この本の主張は、ひとことで言えば、読者の皆さんに、やる気を自己調整できる人間になってほしいということだ。そのために、自分なりのモティべーションの持論をもってほしいということを強調した。持論があれば、自分のやる気を自分で左右できる一助となる。そして、部下をもつ管理職になるころには、より広いレパートリーのティべーション持論をもってほしい。本書は、実践家が持論を持つことの大切さを強調するが、それは、理論などどうでもいいと言っているのではない。理論の裏付けをもって、自分なりの持論をもってほしいということだ。
『リーダーシップ入門』(日経文庫)とあわせて、本書で、わたしがめざす持論アプローチの本が二冊そろった。今回の本は、まだまだこれからという状態だが、この本をきっかけに、自分なりにやる気を自己調整するためのモティべーション持論をもつひとが出始めたら、著者としては、大きな喜びだ。
目次
第1章 モティベーションに持論をもつ-セルフ・セオリー、ワールド・セオリー
第2章 持論がもたらすパワー-やる気を説明する三つの視点
第3章 マクレガー・ルネサンス-本書を導く発想の原点
第4章 外発的モティベーションと内発的モティベーション
第5章 達成動機とその周辺-成し遂げる
第6章 親和動機-ひととともにいる
第7章 目標設定-目標が大切なわけ
第8章 自己実現-動機づけは可能か?
第9章 実践家の持論