現代の企業システム -経営と労働-


現代の企業システム −経営と労働− カバー写真
教官名 奥林 康司 教授(編著)
タイトル 現代の企業システム 
−経営と労働−
出版社 税務経理協会 
2000年1月
価格 2800円 税別

書評

 本書の構成は、基本的に3つの部分に分けられる。

 第1の部分は企業行動に関する部分である。例えば、情報資本主義体制の下での企業の新しい役割、新しい組織形態、コーポレート・ガバナンスの新しいあり方、企業の倫理的行動の内実、企業の社会的責任、地球環境問題への対応などの諸問題が最新の理論を含めて論じられている。

 第2の部分は企業内部の、しかも人に関わる部分である。例えば、人事労務管理の重要な構成要素である職務設計、作業組織、人材開発、職能給、年俸制、更には男女共同参画社会を目指した女性の働き方が現実的に分析されている。

 第3の部分は、社会主義から資本主義体制に転換しつつある国々における企業の変革過程に関する部分である。例えば、ロシアにおける民営化過程、ロシアのエネルギー政策の転換、ハンガリーにおける民営化過程、旧東ドイツの市場経済体制への変換プロセスが実証的資料に基づきながら具体的かつ理論的に検討されている。

 社会体制の転換という最も広い視野から、資本主義企業システムの変化更には人事労務管理制度の変革という最も具体的・制度的なレベルまでも視野に入れながら、現代企業システムの発展方向を展望しようとするところに本書の第2の特徴が見出される。