部下を動かす人事戦略


著者名 金井壽宏 高橋俊介
タイトル 部下を動かす人事戦略
出版社 PHP新書 2004年11月
価格 720円 税別

書評

人事は人事部だけの問題でなく、部下をもつラインマネジャー全員の問題であるし、また、働くひとりひとりがその影響を受けるという意味では、組織が人びとから成り立つ限り、けっして人事部だけの問題ではなくなっている。

成果主義をはじめとする人事制度の機能不全、モチベーション高揚策、リーダーの育成と研修制度の設計、キャリア自律を高めるための工夫、組織変革に貢献する人事戦略について、この分野の実践的な第1人者である高橋俊介氏とともに議論した結果生まれたのが本書だ。

人事部のひとだけでなく、部下をもつ管理職、さらには、働くなかで人事のあり方に苛立ちを覚えるすべての方にお届けしたい。

コンパクトな本ではあるが、経営学における組織行動論(組織のなかの人間行動)と人材マネジメント論が、今日の日本企業の変革課題、戦略課題に照らし合わせたときに、どのように実践的に統合・融合されるべきかの指針となれば幸いだ。

著者はふたりとも同年生まれの同世代で、同じ関心をもちつつ、同時に考えの違う点もあり、それだけに議論の機会をこれまで大切にしてきたし、今後も大切にしたいと思っている。高橋俊介氏は、成果主義、組織変革、キャリア自律に詳しい。それぞれの分野でワトソン・ワイアット時代に実践的な取組の実績があり、また、キャリア自律については、慶應義塾大学のキャリア・リソース・ラボラトリーで実践的プログラムを作成しておられる。本書をきっかけに、また考えが進めば、高橋さんと再度コラボレーションをめざしたい。その第一作が、『部下を動かす人事戦略』だ。

目次

第Ⅰ部 キャリア・アップの時代は終わった!
1. やっぱり成果主義は悪いのか
2. いまなぜ制度がうまく機能しないのか
3. 仕事のモチベーションをどのように高めるか

第Ⅱ部 部下を動かす人材育成術
4. 会社を変えるリーダーをいかに育てるか
5. 研修制度をどう変えれば部下は育つのか
6. 社員の自律を促すために会社は何ができるのか

第Ⅲ部 会社を変える人事戦略
7. 社内人事はだれが担うべきなのか
8. これから人事部には何が求められるのか