企業支配力の制御 -戦後日本企業の経営者-資金提供者関係-
教官名 | 田中 一弘 助教授 |
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タイトル | 企業支配力の制御 −戦後日本企業の経営者−資金提供者関係− |
出版社 | 有斐閣 2002年9月 |
価格 | 4000円 税別 |
書評
本書の標題である「企業支配力の制御」とは、企業の経営者が、自社の経営に大株主や大口債権者が容喙(支配力行使)してくるのを避けようとする行動のことである。経営者と資金提供者の間のこうした問題は企業ガバナンス分析の最も重要な論点であるはずなのに、これまでほとんど手がつけられてこなかった。そこに正面から切り込んだのが本書である。本書では戦後日本の主要企業50社の30余年にわたる株主構造・債権者構造を詳細に分析することを通じて、「制御」の実態を浮き彫りにしている。「制御」は結果として経営者の裁量の余地を大きくするが、それは必ずしも批判的にばかり捉えられるべきものではない。本書で詳述されているように、そこにはある種の必要性が認められるし、制御することがむしろ経営者の自己規律を誘発するとも考えられるからである。