2026.07/17開催報告
コーネル大学 Wesley D. Sine教授 特別セミナーを開催しました
2026年4月15日、KIMAP Research Seminarとして、中小M&A研究教育センター(MAREC)の支援の下、米国コーネル大学ジョンソン経営大学院のWesley D. Sine教授をお招きし、特別セミナーを開催しました。
- 日時
- 2026年4月15日(水)10:00~11:00
- 会場
- 神戸大学六甲台第1キャンパス 第三学舎306教室
- 講師
- Wesley D. Sine 教授
- コーネル大学 ジョンソン経営大学院 経営学教授
- John and Dyan Smith冠教授(ファミリービジネス・マネジメント)
- Smith Family Business Institute アカデミック・ディレクター
- コーネル大学 博士(組織行動論)/ブリガムヤング大学 修士・学士
- 主な研究テーマ:アントレプレナーシップとイノベーション、新産業・新技術の形成と発展、制度変化(institutional change)、組織戦略・組織構造
- 研究①:アーカイバル分析 940社の実データによる検証
- 940社を対象とした分析の結果、単に「自社は社会規範や倫理を大切にする」と主張するだけの企業よりも、第三者機関の認証を受けたB Corp企業の方が、顧客満足度・従業員満足度が有意に高いことが明らかになりました。
• 効果の経路:B Corp認証の効果は、従業員満足度を介して媒介されている(mediated)。認証が従業員の体験を高め、それが顧客の体験へと波及する。 - 研究②:アイスクリームを用いた実験
- 学生を対象とした実験では、全く同じ味のバニラアイスであっても、「B Corp認証企業のものである」と伝えられるだけで、顧客はより美味しいと感じることが示されました。認証は評価だけでなく、知覚そのものを変化させるという結果です。なお実験は2回実施されており、2回目では「B Corp認証を受けたファミリー企業の製品」と伝えられた群のみが、より美味しいと報告しています。
• ファミリービジネスにおける効果:実験において、認証の効果は非ファミリー企業よりもファミリー企業において有意に大きかった。認証はファミリービジネスにおいてこそ、より大きな意味を持つ。 - 総論
- 第三者による客観的な「認証」は、企業の信頼性を高めるだけでなく、顧客の実際の製品体験や従業員の幸福度を質的に向上させる——これが本研究の到達点です。
- おわりに
- 日本では2026年より、経済産業省によるファミリーガバナンス・ガイダンスの運用が始まります。B Corp認証とは制度の性質を異にするものの、環境への配慮や倫理的価値を項目に含む点で共通しており、事業承継のあり方だけでなくステークホルダーにも影響を及ぼす可能性があります。本セミナーで示された知見は、日本のファミリービジネスを考えるうえでも示唆に富むものでした。