過去の神戸大学MBA公開セミナー

第29回:2018年9月12日(水)18:30~19:45

クロスミッション経営の探求:グローバルにマトリクス組織を効果的・効率的に運営するために

発表者:吉田康政氏(2017年度加護野忠男論文賞受賞者、神戸大学MBA修了生)

場所:神戸大学梅田インテリジェントラボラトリ(梅田ゲートタワービル8階)

9月の神戸大学MBA公開セミナーでは、本学MBA修了生で2017年度加護野忠男賞受賞者の吉田康政氏が、受賞論文のエッセンスを語ります。

多くの日本企業は少子高齢化を見越してグローバル戦略を中長期戦略の骨子としています。そのなかで、従来型の日本人出向社員個人の知見に依存した属人的オペレーティングモデルは、今や成り立たなくなろうとしています。その背景には、日本の少子高齢化、現地人材の育成や登用の遅延がもたらす弊害、進出拠点ごとにバラバラとなる業務プロセス、行き過ぎた現場至上主義の蔓延などの問題があります。

講演者の吉田氏は、国内の化粧品メーカーに勤務しておられます。同社は同業内でも比較的早期に海外へ進出し、現在も進出した国々におけるリーディング企業となっています。吉田氏は20数年のキャリアの中で10年間、海外上場子会社の役員等を経験。現在はグループの経営戦略部長としてグローバル戦略の策定と管理に携わっておられます。

吉田氏は、グローバル化を果たした多くの日本企業が、海外の同等の企業と比較して、経営効率=ROAにおいて劣後しているという現実を受けとめ、日本企業がグローバル競争においてその総合力をより高いレベルで発揮できる経営のあり方を探求することを、論文執筆の目的としました。そのもとで吉田氏は、日本企業と海外企業の経営効率の差はグローバル戦略を運営するオペレーティングモデルと人間にあると着眼し、研究を進めました。

吉田氏の研究は、欧米の優良多国籍企業2社が採用するオペレーティングモデルであるマトリクス組織とそれを動かす人間であるマネージャーについての事例研究です。これまでのアカデミックな理解では運用が難しいと言われてきたマトリクス組織が、現在どのように実際の経営の場で優れた活用がなされているかを明らかにすると共に、グローバルにマトリクス組織を効率的、効果的に運用する方法についての考察が行われます。

本セミナーでは以上の事例研究をもとに、これからの日本企業に求められる経営運営や、その課題に関する議論を進め、企業のグローバル化の高度化に対する認識を深めていきたく思います。

 

当日のプログラムは以下の通りです。

  1. 18:30-18:35 挨拶、概要説明
  2. 18:35-19:20 講演(吉田氏)
  3. 19:20-19:45 質疑応答

募集人数は110名です

開催場所:神戸大学梅田インテリジェントラボラトリ