マーチャンダイジング・プロセス改革における組織モードと 個人情報の非対称性の変容 −日本の総合スーパーの事例から−

要約

本研究の目的は、第1に分業と調整のあり方としての組織アーキテクチャの戦略的変更が、当該企業に保有されている人的資源のタイプに条件づけられることを、大手総合スーパーのマーチャンダイジング・プロセス改革の事例分析をもとに明らかにすることである。調査の結果わかったことは以下のとおりである。

( 1 )組織アーキテクチャと特定の技能タイプの発展の方向を定めるインセンティブ・システムの補完関係は 、経営者がもつ当初の意図ないし技術システムの設計原理どおりには変容しない。

( 2 )日本企業の組織モードは、情報システム特性のセンター集中化( CI )/ライン分権化( DI )と、人事管 理特性のセンター集中化( CP )/ライン分権化( DP )の補完的な組み合わせでとらえる双対原理の類 型化において、アメリカ型(情報システムのセンター集中化と人事管理のライン分権化の組み合わせ)に接近するものの、これまでの様式化された日本企業の組織モード(情報システムのライン分権化と人事管理のセンター集中化の組み合わせ)の諸特徴が保持された派生物となる。

( 3 )日本企業はこれまでの様式化された人事管理特性のすべてを放棄するわけではない。

( 4 )本社人事部とラインの間にある個人情報に非対称性は引き続き日本企業の人事管理における課題である。

キーワード

組織アーキテクチャ、組織モード、マーチャンダイジング・プロセス、個人情報に非対称性

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平野光俊

小河原好弘

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