企業再生の多様な方法
要約
日本企業の再生を実現するための経営改革について、近年では日産のカルロス・ゴーンに代表されるカリスマ的な経営者の華々しい活躍ぶりが注目されている。しかし企業再生の方法は多様である。経営再建を必要とするに至った経営悪化の要因および経営状況は企業によって大きく異なり、それによって再生プロセスにも様々なタイプが存在すると思われるからである。また企業を構成している従業員の危機意識の違いは、再生プロセスに大きな影響を与えることが予想される。そこで日産自動車相談役名誉会長の塙義一氏、フェニックス電機代表取締役社長の斉藤定一氏、および松下エコシステムズ前社長の中野輝雄氏をパネリストに迎え、各社における企業再生の実施過程と成功の要因についてお話頂いた。続く討論では、経営改革を断行するための強い意思を経営者が持つと同時に、従業員に対して危機意識を抱かせるための仕組みづくりが企業再生に不可欠であると指摘される。また内部昇進型の経営者ではなく、外部から赴任してきた社長が経営改革を推進するためには、前任者による妨害を可能な限り抑制しながら、プロパーの社員と濃密なコミュニケーションを持って意識の共有を図ることの重要性が指摘されている。さらに、Make it Simple、Make it Fast、Focus in Focusという3つのキーワードが、企業再生に不可欠な要素として結論的に導かれる。
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中野常男 中島裕喜(編集) |
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