低費用航空会社参入の市場効果の持続性:米国複占市場におけるケース

要約

本稿は1996年から2000年にかけて、米国国内の複占航空市場で新規参入が観察された路線を対象とし、新規参入による運賃競争の効果がどの程度持続するかを寡占経済理論および計量経済学的手法により明らかにした。その結果、サウスウエスト航空が新規参入を行った路線では、一時的に市場規模が拡大した後、長期的に運賃は低いレベルで安定する。輸送量については、直接的競争の場合にはライバル航空会社のそれも増加する一方で、セカンダリ空港からの間接的競争の場合は、ライバル航空会社の輸送量は減少する。サウスウエスト以外の新規参入の場合には、新規参入後約4年で、運賃競争は終息し、運賃水準は回復する。サウスウエスト航空の新規参入後の運賃戦略は明らかに他の航空会社のそれとは異なり、一貫して低運賃戦略を継続することが分かる。同社の参入の市場への効果については、直接的競争の場合は明らかに長期的に経済厚生水準が改善される一方、間接的競争の場合は路線次第となる。

キーワード:低費用航空会社、複占競争、新規参入、効果の持続性

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村上英樹

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