日本の製造企業における品質管理の現状と変化に関する調査研究

要約

近年,優良製造企業を中心に,日本の品質管理水準の低下を指摘,憂慮する声が頻繁に聞かれるようになった.経営環境の変化とそのスピード,価格競争の激化,商品サイクルの短期化などへの対応に企業活動の重点が移行し,経営トップの品質意識の低下,社内教育の縮小,現場管理者および従業員の数の縮小と品質改善意欲と能力の低下等を招いているとされる.一方で,品質はものづくりの中核的な概念であり,品質管理の基本に回帰し,この問題を再検討する必要があるとも認識されている.そのために,日本の品質管理の調査研究を実施して,品質管理の現状と変化を把握することは重要である.本論文では,2004年 12月から2005年2月に東証1部上場企業の製造企業を対象にして品質管理に関するアンケート調査を実施し,品質管理基盤実践要素(例えば,経営トップのリーダーシップ,人的資源管理など),品質管理中核実践要素(例えば,製造プロセス管理)と品質成果の現状と中期的な変化について,現場認識の検証を行った.さらに,共分散構造分析に基づき,品質管理実践要素と品質成果との因果関係の分析を行い,品質管理の枠組みを再検討した.

キーワード:品質管理,共散構造分析,品質管理基盤実践要素,品質管理中核実践要素

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鈴木秀男

松尾博文

アラウスリタ

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