システム製品の競争とコンポーネントの互換性 −家庭用テレビゲーム産業の基本構造の解明−

要約

本論文では、ハードウェアとソフトウェアという補完的なコンポーネントの互換性に注目しながら、システム製品の競争構造を検討する。水平的に差別化されたハードウェアを提供する2つの企業と、ソフトウェアを提供する2つの企業が存在するもとで、ソフトの開発に関する契約の選択、ソフトの販売形態の選択、ハードならびにソフトの価格の選択を多段階ゲームによって分析するとき、ソフトの販売形態として専売(single-homing)が選ばれ、その結果として、ソフトの非互換性がゲームの均衡として導かれることを示す。この分析結果をもとに、家庭用テレビゲーム産業において注目を集め続けている米国アタリ社の凋落への新たな解釈を与えると共に、その後、日本市場で任天堂が構築したソフトの非互換性と専売契約が業界の基本構造となっている点について理論的な説明を試みる。

キーワード  システム製品、互換性、専売契約、家庭用テレビゲーム

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丸山雅祥

大北健一

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