関係性を通じたキャリア形成 −京都花街の芸舞妓の事例−

要約

サービス業従事者が、顧客の直接的な要望だけでなく潜在的なニーズを掴み、自分の持つ技能をその場その場に応じて発露し、求められる最適なサービスをどのように提供することができるのか、またそうした力はどのように育成されるのかを、京都の新人の芸妓・舞妓の事例から考察する。京都の花街では、上記のようないわゆる状況判断能力をあらわす言葉として「座持ち」という言葉が、顧客を含む共同体の中で広く共有されている。この座持ちという能力を新人が身につけていく過程に着目すると、個人のキャリアが所属する組織の中で時間とともに顧客を含む特定の人々との関係性の中で育成されていることがわかる。そして、このような関係性を通じたキャリア形成を本人が自覚しながら能力育成することは、人材育成のプロセスの1つとして重要な側面を持つことを考察する。

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西尾久美子

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