リーダーシップの持(自)論アプローチ ——その理論的バックグランドと公表データからの持(自)論解読の試み——
要約
研究者が構築するフォーマルな理論だけが理論ではない。実践家が経験から蒸留する実践的な持論もまた、理論の一種だ。経営学における組織行動論での主要トピックは、すべて日常の経験のなかにあり、また、それを記述する言葉もまた日常語である。リーダーシップもカタカナで用いられることも多いが日常語だ。働いて数年もすれば、ひとはなぜ働くのか、どうすればひとはついてくるのか、について自分の考えをもっていても不思議ではない。むしろそれを体系的に調査した研究が稀なのが不思議だ。普遍的ではなくても、経営者自身が自分で実践に使用している持論(本論文では持(自)論とも表記する)は、自分なりのリーダーシップの持論を探すインプットとなる。われわれは、もちろん研究の構築するリーダーシップの諸理論が無益だとは言わないが、研究と教育の焦点をもう少し、すぐれた経営者のリーダーシップ持論の発掘、蒸留という作業に向けるべき段階にきている。本論文では、リーダーシップの持(自)論アプローチの概要と、経営者の自伝、伝記からのリーダーシップ持(自)論の解読の意味を探る。
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尾形真実哉 片岡登 元山年弘 浦野充洋 森永雄太 |
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