経営戦略における統合(synthesis)の探求:何が分析的手法には不可能であるか
要約
経営戦略論には,戦略形成にあたり環境要因の分析を重視する理論と,経営者の主体的な意思決定を重視する理論が存在する.これら2つの理論視角には,それぞれ「分析」と「統合」という思考アプローチが背景にみられる.このうち,本論では統合を焦点としながら,戦略形成において何が分析的手法には不可能であり,また経営戦略における統合とは具体的にどのような活動であるかを明らかにする.
本論では,経営戦略における統合に関するいくつかの概念および諸活動をひとつの概念枠組みによってあらわす.その結果,具体的な統合的マネジメントとして「戦略-オペレーションの一体性」,「長期一貫性」,「選択肢の創造」,「枠組みの創造」の4つを類型する.本論の貢献は,従来,あいまいに議論されることが多かった統合の概念を具体的な活動として示し,また既存研究で提示されていた統合に関する議論の関連性を明らかにした点にあるといえる.
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工藤秀雄 |
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