人事管理の意思決定構造と人事部の体制―「人事の分権化」の機能要件の探求―

要約

人事管理方針の変化に伴い,多くの日本企業では人事管理上の権限委譲が進められている。本論文では,人事部がどのようなラインへのサポートおよび間接的統制の体制を整えた時にそれが機能するのかについて検討する。定量的分析の結果,「人事の分権化」はそれ自体では企業の生産性に大きな影響を与えないことが明らかになった。しかし,権限委譲の際には人事部からラインへのサポートや間接的統制を要すると思われる一部の意思決定項目については,全正社員に占める人事スタッフの比率が高いほど,あるいは人事業務のアウトソースが進展しているほど,「人事の分権化」は企業の生産性に悪影響を与える。つまり,人事スタッフの比率やアウトソースの進展度が高いほど,ラインに対する人事部のサポートや間接的統制の能力が低下しかねない。

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江夏幾多郎

平野光俊

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