済生会熊本病院の組織変革―医療の質と経営効率の両立―

要約

人口68万人の熊本市の中心地は、熊本大学付属病院(850床)、熊本中央病院(363床)、熊本市民病院(580床)、国立病院機構熊本医療センター(550床)等の病院がひしめく、急性期病院の激戦地区として知られている。
その中にあって、救急・救命を中心として高度・専門医療に特化した恩賜財団・済生会熊本病院(以下、済生会熊本病院)は、高い医療の質を維持しながら黒字経営を維持している数少ない病院の一つである。本稿は、済生会熊本病院がいかに医療の質と経営効率を両立することに成功したかを、事務部門リーダーの視点から明らかにすることを目的としている。
以下、平成7年に民間企業から済生会熊本病院の事務長(兼副院長)に着任し、同院の組織変革を主導した正木義博氏(現・恩賜財団済生会横浜東部病院・院長補佐兼事務部長)へのインタビュー調査、および同氏の資料を基に、済生会熊本病院の事例を紹介する。
なお、本稿は、ケース授業におけるディスカッションの教材として位置づけているため、理論的・実践的な観点からの解釈・分析・考察は掲載していない。

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松尾睦

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