内部統制報告および監査と株式市場の評価
要約
本稿は、内部統制報告制度の初年度適用において内部統制の重要な欠陥を識別した上場企業のリスクと資本コストを分析した。そして、つぎのように内部統制報告制度が資本市場のリスクの評価に役立っている証拠を発見した。(1)内部統制に重要な欠陥がある企業の内部統制報告制度導入前のリスクはアンシステマティックであり、市場関連的なリスクとして評価されていない。したがって、内部統制に重要な欠陥がある企業に対して、市場は内部統制報告制度導入前にはリスク・プレミアムを要求していない。(2)しかしながら内部統制報告制度が導入されて内部統制に重要な欠陥がある企業の統制リスクが明らかになると、市場は導入前の水準に9.6%のリスク・プレミアムを上乗せしている。これは、コントロール企業よりも8.4%高い水準である。
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