知的資産の経営と開示: 知的資産経営報告書の開示実務の正統性獲得に向けて

要約

本稿では,知的資産経営報告書が正統性を確保するためには,すなわち,実践が
普及するためにはどのような分析的視座が必要であるかについ て,MERITUMガイ
ドラインを拡張したつぎの2つを提示する.第1は,企業の内部資源と,境界ネッ
トワーク組織 との共有資源を切り離すことにより生じる,企業組織と境界ネッ
トワーク組織の間の再帰的 なダイナミズムの視点である.すなわち,企業の境
界ネットワーク組織には,資本提携先や,より緩やかな事業提携先が含まれる
が,企業組織と境界ネットワー ク組織との相互作用の結果としての再帰的なダ
イナミズムを議論する.第2は,企業が“現在”の資源を適切に企業戦略に結び付
ける必要性の視点であ る.企業は“過去”の投資の蓄積としての“現在”の資源の
ベクトルを,“現在”と“将来”の事業領域の選択に関わる企業戦略に適切に合致さ
せる必 要がある.本稿は,これらの2つの視点によって,どのようにすれば知的
資産経営報告書が正統性を獲得できるかについて検討する.

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與三野禎倫

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