米国におけるLCC対FSCの競争形態 -クロスセクションデータを用いた推測的変動の計測-

要約

本稿は米国内LCC市場の発展段階である1998年のデータを用いて,LCCとFSCの競争形態を,参入企業数ごと,並びに参入形態ごとに推測的変動を用いて分析した.これによると,参入企業数と市場シェアに拘らずクールノー型競争が数多く観察されることが判明した.また,LCCが基幹空港に参入する場合と第2空港に参入する場合とでは,競争形態が異なり,棲分けた場合LCC・FSC共に相手の競争の程度を楽観視する.しかし全般的にFSCはLCCの競争行動を警戒する傾向がある.政策インプリケーションとしては,産業全体を持続させるのであれば,LCCとFSCを棲み分けさせ,また経済厚生の増大を追及するのであれば,LCCを基幹空港に参入させることが施策として考えられる.

著者 PDFへのリンク

村上英樹

PDFファイル

(433.1KB)