三菱電機株式会社「本炭釜NJ-WS10」の開発

要約

 本稿では,三菱電機株式会社による電気式ジャー炊飯器「本炭釜(NJ-WS10)」の開発について述べる。電気式ジャー炊飯器の市場では,1990年代半ばから2000年代半ばにかけて,平均単価が下落し続けていたが,2005年以降,このトレンドが変化し,電気式ジャー炊飯器の平均単価は上昇し始めた。そのきっかけになった製品のひとつが本炭釜である。本炭釜は実勢売価で10万円前後の高価格品であるにもかかわらず,三菱電機の想定を上回る売れ行きを見せた。これ以降,炊飯器業界各社はこぞって高価格の炊飯器を市場に投入し,いわゆる高級炊飯器市場と呼ばれる細分化市場が形成された。本稿では,本炭釜がいかにして開発されたのか,そのプロセスを明らかにし,新しい細分化市場を作りだすきっかけになった製品開発の特徴について考察を行った。

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宮尾学

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