組織行動論へのレジリエンス概念の導入―マルチ・レベルで捉えるレジリエンス研究―
要約
人生の山場や修羅場を振り返っても、ここが踏ん張りどころだという場面がある。そのとき自分はどのように乗り切ったか。そのときの経験が、「打たれても跳ね返す力」として仕事生活において役立つことがある。これは、経営者になるような方々だけでなく、現場で働く方々や、われわれのような研究者が一人前になっていくプロセスにおいても深く関係している。
このような視点から、本論文は神戸大学大学院経営学研究科金井壽宏研究室に在籍する後期課程の院生との共同研究プロジェクトとして、レジリエンス(resilience:しなやかさ、柔軟さ)概念に着目し、文献研究を実施した研究成果である。本論文では、マルチ・レベルに行われている既存のレジリエンス研究を、個人や集団に焦点化するミクロ・レベル、組織規模の出来事に焦点化するマクロ・レベル、そして2つのレベルを統合する企業家の役割を記述したメゾ・レベルとして整理した。その結果、明らかになったことは、主として組織行動論において今後レジリエンス研究を実施していくためには、様々な困難や失敗の経験を1つのレジリエンス・プロセスとして捉えることであった。
本論文を契機として、レジリエンスにかかわるテーマに関心が高まるように、ディスカッション・ペーパーをまとめさせていただいた。実践的にも、学術的にも、読者の方々に役立つ論文となれば幸いである。
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中原翔 西村知晃 伊藤智明 福本俊樹 貴島耕平 高瀬進
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