コンフィギュレーションとしてのマネジメントコントロールとfsQCA(fuzzy-set Qualitative Comparative Analysis)

要約

多様なマネジメントコントロールが、相互に関連しながら効果を発揮するという認識が、急速に広まりつつある。しかし、相互依存関係をもつマネジメントコントロールをめぐる因果関係は著しく複雑であり、それを解明するための研究方法が十分に確立されていないため、研究の蓄積が遅れている。このような認識から、本論文では、次のことを行った。第1に、相互依存関係をもつマネジメントコントロールについて、コンフィギュレーション(configurations)の観点から捉えることの有用性を指摘し、その特徴について検討した。第2に、先行研究が採用してきた研究方法について、コンフィギュレーションとしてのマネジメントコントロールの解明という観点から、その問題点や限界を検討した。第3に、コンフィギュレーションを認識するための有効な研究方法として期待されるfsQCAの基本的特徴を明らかにした。第4に、fsQCAの適用事例の検討を通じて、fsQCAの適用可能性や適用上の課題について考察を行った。本論文の結果、相互依存性をもつマネジメントコントロールを解明する上で、多様性、相互依存性、非対称性、等結果性という4つの特徴を有するコンフィギュレーションが有用な視点となること、fsQCAがコンフィギュレーションとしてのマネジメントコントロールを認識、解明するための有力な研究方法となりうること、学術論文におけるfsQCAの適用方法や開示方法について、共通認識の確立が急がれることが明らかになった。

著者 PDFへのリンク

劉美玲

梶原武久

閲覧不可