レジリエンスの死角:なぜレジリエンスが失敗を招くのか?

2020・25

要約

近年,経営学を含めた様々な領域でレジリエンスという概念が注目されているが,その一つに安全管理研究が挙げられる。従来の安全管理では規則を中心とする標準化が重視されてきたが,これが組織の想定外の事態への対応を阻害するとして,今では現場の柔軟性や調整力を意味するレジリエンスが重視されるようになっている。本論文の目的は,レジリエンスに注目することで見落とされてしまう側面を前景化することで,このパラダイムシフトに警鐘を鳴らすことである。具体的には,(1)標準化がレジリエンスを駆動する側面,(2)レジリエンスが他の実践と機能的不協和を起こす側面,(3)レジリエンスによってベースラインがドリフトする側面,の3点をレジリエンスの死角として取り上げる。

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吉野直人

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