経営組織におけるBottom-Line Mentality(BLM)の課題と展望

2021・18

要約

本研究の目的は、Bottom-Line Mentality(BLM)研究のレビューを通じて、目的の多次元性に正しく注意を払えないことが、経営組織やそのメンバーにいかなる影響をどう及ぼすかについて、組織行動論の視点から考察することである。
 経営組織の目的を達成することに関して、利益の追求のみならず、社会や環境への配慮といった様々な視点から目的を捉え、経営を行う必要性が高まっている。ところが、現実に目を向けると、利益最大化という一点に関心を払いすぎるあまり、非倫理的な行いに手を染めてしまう例も少なくない。そのため、経営組織の目的が多次元的なものであることを踏まえた上で、そうした目的を一元的に捉えてしまうことで生じる問題が何によりもたらされ、それがどのように生じるのかという疑問の解明がますます重要になっている。
 そこで、本研究はBLMという概念に注目し、目的の多元性と目的を一元的に捉えることの問題との関係を議論する。より具体的には、BLMという概念を最初に提唱したWolfe(1988)まで遡った上で、BLMがいかなる概念であるか、またBLMがいかに議論されてきたかについて、実証的に検討した論文をレビューする。そして、既存研究の議論や示唆に関して、どのような課題があるかを論じ、今後のBLM研究の方向性を展望する。

キーワード:Bottom-Line Mentality(BLM), Bottom-Line, メカニズム, “諸刃の剣”効果

著者 PDFへのリンク

砂口 文兵

鈴木 竜太

Download(779 KB)