ニューロアカウンティングの課題と現状
2022・05
要約
アメリカの会計学界の流れの一つとして経済合理性が貫徹しない世界では、制度化された会計に依拠してこそ企業社会は良好に運営されるという発想がある。その制度化は契約理論に基づいてサンダーらによって主張されたが、バス・ウェイマイヤらはそうした考えをニューロアカウンティング(脳神経会計学)として発展させて、当該制度化が脳の中で起こっており、したがって脳の構造(システム)を反映しており、その具体的脳部位を脳神経科学の先行研究を援用して指摘している。さらに会計制度として反映されたこの脳の具体的構造(システム)が遺伝子非経由で遺伝していく可能性があることをEOウイルソンの説(エピジェネティック・ルール)に基づいて主張している。それが会計制度の数百年に及ぶ試行錯誤的・漸次的制度化に貢献しているとする。しかし論者自らは脳実験をやっていない。それに対して我々がやってきた脳神経会計学の脳実験は、会計が機能する会計環境の中で一見非合理な意思決定が、脳内のどのような部位の賦活で行われたかを解明している点を概観しておきたい。
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山地 秀俊 山川 義徳 |
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