神戸大学経営学部では2023年度より、それまでの「経営学特別学修プログラム」(以下「特修P」)を引き継ぐ形で 「経営データ科学特別学修プログラム」(以下「DSP」)を開始します。
DSPとは
DSPは、「経営学の理論に基づき、データの意味を理解し、データを用いて理論を検証し、検証結果から実践的示唆を導き出せる人材を輩出することを目指したプログラム」です。
企業を含め、社会の様々な場面でデータを使って経営に役立てる分析を行うことのできる人材が求められています。このプログラムは、単に統計分析ができるだけでなく、経営学を使ってデータを用いて経営を考えることのできる人材を輩出しようとするものです。
育成する能力
一般に、経営学の科学的アプローチを基礎とするデータ分析・データサイエンスに必要な能力としては、以下が考えられます。
- 課題設定能力:経営学の知識に基づき、データを用いて解明すべき課題を自ら設定することができる。
- データ整備能力:企業等で日々の業務から得られる多種多様なデータを自ら収集し、整理して、分析可能な形にまで整備することができる。
- データ分析能力:自らデータの特性を理解してその意味を読み取り、統計学・データサイエンス等の分析手法を使って分析して結果を出すことができる。
- データ解釈能力:経営学の知識に基づき、分析された結果を解釈し、経営意思決定のための実践的示唆を導くことができる。
学部レベルのDSPでは、上記のうち主に3と4の能力を身に付け、経営学の各分野(学科)において、学部レベルで必要と考えられる一定の統計分析ができること、具体的には以下ができるようになることを目指します。
- ある程度整備されたデータを分析可能な形に加工し、
- 基本的な記述統計を示しながらデータの意味を理解し、
- 基礎的な分析(回帰分析)を行って、
- 統計的推論に基づき分析結果を解釈することで、
- 経営学の基本的な理論(仮説)を検証し、
- その理論の現実妥当性を判断することで、
- 当該経営現象に対して科学的根拠を持つ実践的示唆を提示する
3,4に先立つ1,2の能力については、本プログラムに続くものとして設計中の、大学院(修士)教育との接続において対応するものとします。2024年度はいくつかの大学院科目を試行的に開講します。
参考:経営データ分析教育プログラム5年一貫コース
DSPの履修・修了について
DSPは、特定科目の履修を次の科目の履修条件として積み上げ式に必要な科目を履修していき、結果的に必要な科目を履修できれば修了とするプログラムです。修了要件を満たした学生には認定証を発行します。
特修P所属学生(2024年度新3年生(2022年度入学))または特修P修了生(2024年度新4年生以上(2021年度以前入学))の皆さんは、こちらをご確認ください。
修了要件
以下の表の太枠の講義を全て履修、合格することとします。ただし、「経営データ分析(各分野)」については2科目4単位以上を修了要件とします。
- 「経営統計」 2単位:1年次後期
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- 内容:経営学で用いる統計分析に関する理論を講義
- 履修要件・履修制限:なし
- 「経営科学の基礎」 2単位:2年次前期
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- 内容:理論を用いて経営現象を理解することの重要性、その理論の妥当性についてデータを用いて検証することの重要性(科学的アプローチ)を講義
- 履修要件・履修制限:第1群3科目
- 「経営数学」 2単位:2年次前期
(2024年度入学生以降:2023年度入学生は修了要件に含みません) -
- 内容:経営学・データ分析で用いる数学を講義
- 履修要件・履修制限:なし
- 「経営データ分析(入門演習)」 2単位:2年次前期
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- 内容:「経営統計」で学習する統計理論の復習+その理論に基づく統計分析の演習
- 履修要件:「経営統計」を単位修得済みであること
- 履修制限:演習科目のため定員の上限を設定(50名程度)
- 「経営データ分析(各分野)」 2単位:2年次後期~3年次前期
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- 内容:「経営科学の基礎」「経営データ分析(入門演習)」に基づき、経営学各分野で用いられる経営理論を、データを用いて検証し、その結果に基づき実践的示唆を導くことができるようにする、演習主体の授業
- 講義名の「(各分野)」の括弧内には取り扱う分野・テーマが入ります。同一名称(分野・テーマ)の授業が違う年度で開講されている場合は重複履修できませんが、別の名前の科目であれば別科目となるためどれも履修可能です。
- 履修要件:「経営科学の基礎」、「経営データ分析(入門演習)」、「経営数学」(2023年度入学生以外)と第1群3科目、科目ごとに担当教員が指定する当該分野の科目(第2群等)を単位修得済みであること
- 履修制限:演習科目のため科目ごとに定員の上限を設定
- DSP修了認定のためには、「経営データ分析(各分野)」は2科目4単位以上を修得しておく必要があります。
特修P所属学生(2024年度新3年生(2022年度入学))の皆さん
- DSPの開始に伴い、特修P修了の要件となっている科目の一部をDSP科目の修得によって読み替えます。特修P修了に必要な科目はこちらで確認してください。
- また、DSPの要件を満たす場合にはDSPも併せて修了することが可能です。その場合、既に修得した特修P科目を、DPSの修了要件となる科目に読み替えることができます。DSP修了に必要な科目もこちらで確認してください。
特修P修了生(2024年度新4年生以上(2021年度以前入学))の皆さん
- DSPの要件を満たす場合にはDSPも併せて修了することが可能です。その際、既に修得した特修P科目を、DPSの修了要件となる科目の修得に読み替えることができます。DSP修了に必要な科目はこちらで確認してください。
補足
- 最短で2年生終了時点で修了要件を満たすことができますが、各科目を上記の配当学年・セメスターより遅れて履修しても、卒業までに要件を満たせばプログラム修了を認定し、修了証を発行します。
- 編入生でも要件を満たす場合はプログラム修了を認定します。(ただし最短でも4年生後期での認定となります)。
経営データ分析教育プログラム5年一貫コースについて
2023年度入学の1年生より、学部早期卒業(3.5年)と修士早期修了(1.5年)を組み合わせ、5年一貫の教育で高度データ分析スキルを持つ人材を育成する「経営データ分析教育プログラム5年一貫コース」を開始します。詳細については追って連絡します。
2024年度はいくつかの大学院科目を試行的に開講します。(コース概要はこちら)
なお、プログラムの運営上、上記内容に変更を行う可能性があります。
以上