伊賀隆賞、第7回が授与されました
伊賀隆賞は、1971年から1990年の19年にわたり神戸大学経営学部経営数学講座の教授として経営数学分野の教育研究に尽力された伊賀隆先生を記念し、神戸大学経営学研究科において経営の数理・数量的研究の分野で優れた研究成果をあげた学生を表彰するものです。伊賀隆先生が2013年2月に亡くなられたおりにご遺族から神戸大学経営学研究科の発展のためにとのご寄付がありましたので、一周忌にあたる2014年3月にこの賞を創設して、毎年課程博士号を授与される学生のうち賞の趣旨に該当する学生があれば1名を選んで表彰し、ご遺族の寄付を基金として副賞を贈呈することにしました。
第7回伊賀隆賞は、”Essays on Decision under Uncertainty” の題目で、不確実性下における意思決定の公理化に関する研究成果をあげた青山知仁君に授与されました。青山知仁君の研究は、人が決断に踏み切るという現象を数学モデルで研究する可能性を切り開くもので、自分の行動がどのような結果を引き起こすかが不明の状況で、取り得る行動の選択肢ごとに、その人がどのタイミングで行動に踏み切ったか、そのとき選択肢からどの行動を選んだかが一定の規則性を持つ場合には、その状況で下された決断は、あたかもその人が不確実性に対する主観的な確率評価をあらかじめ心の中に抱いている場合に対応する、最適停止問題という数学問題の解として表現できることを、関数解析の手法によって示したものです。授与式は、2020年3月25日に経営学研究科長室で行われました。
左から、上林憲雄経営学研究科長、青山知仁君
神戸大学経営学研究科は、経営の数理・数量的研究の分野の優れた教授陣を擁しており、これからもこの分野で優れた研究者を育成し、わが国の経営学の発展に寄与していこうと考えています。伊賀隆賞は、そのような将来有望な研究者に引き続き授与される予定です。