航空の経済学


著者名 村上英樹 加藤一誠 高橋望 榊原胖夫 編著
タイトル 航空の経済学
出版社 ミネルヴア書房 2006年3月
価格 3000円 税別

書評

本書は交通経済学あるいは物流を専攻する学部専門課程学生、修士課程学生、ならびに航空・空港産業に携わる実務者向けに書かれたテキストです。全体の構成はミクロ経済学・産業組織論の流れに従っています。

特色としては、全範囲にわたり通説を網羅するという典型的な教科書タイプのものではありません。むしろトピックを絞り、経済学で通説とされている理論を航空産業のデータで実証するなど、やや専門書的な内容も含んでいます。また米国の同時多発テロの影響の分析や、それ以降のデータを用いた分析もいち早く取り入れています。もちろん、既存の関連テキストの内容からどうしても落とせない航空・空港の諸制度や歴史に関する部分は残しておりますし、航空産業で用いられる専門用語をコラムの形で解説するなど、硬軟織り交ぜた構成にしています。また方法論として近年融合して来ている工学的な視座に関しても平易に記述しています。内容・構成とも類書のない、(逆説的ですが)オリジナリティの高いテキストです。

目次

第I部 経済学からみた航空と空港-経済財としての航空と空港-
第1章 航空輸送の発展
第2章 航空輸送サービスの生産と費用
第3章 航空需要
第4章 航空輸送業における競争とプライシング
第5章 伝統的寡占理論と航空産業
第6章 市場の失敗とその解決策

第II部 航空と空港のしくみ
第7章 国際航空と自由化政策
第8章 航空会社の新たなビジネスモデル
第9章 国際航空貨物とグローバルロジスティクス
第10章 わが国における航空の現状と課題
第11章 空港民営化と空港システム
第12章 航空研究における工学的視座

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