マーケティング・コンセプトを問い直す 状況の思考による顧客志向
著者名 | 栗木 契 著 |
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タイトル | マーケティング・コンセプトを問い直す 状況の思考による顧客志向 |
出版社 | 有斐閣 2012年5月 |
価格 | 3150円 税込 |
書評
顧客志向は、マーケティング・コンセプトの核心です。顧客創造や、顧客駆動型経営の重要さは、ビジネスの常識だと言ってよいでしょう。
しかし、現実の世界は、顧客の声を聞いて戦略を立てて実践すれば成功するほど単純ではありません。では、なぜ顧客志向は、ビジネスを空転させたり、ビジネスの障壁になったりするのでしょうか。この実践における世界の複雑さを、われわれはどのように理解すればよいのでしょうか。
本書は、「状況」をキーワードに、顧客思考の理解の深化に挑みます。状況の論理を普遍法則と取り違えることが、多くの悲喜劇をマーケティングに引き起こすことを解き明かす1冊です。
- 目次
序 章 状況の思考としてのマーケティング・コンセプト
1 マーケティング・コンセプトを問い直す意味
2 本書の構成
第I部 起ち上がる秩序
第1章 マーケティングの生成を振り返る
1 マーケティングの現在
2 マーケティングの生成
3 マーケティングの基本図式
4 まとめ
第2章 事業システムの競争プロセス:家庭用ゲーム機産業に見る逆転劇
1 決定論を超えて
2 分析ユニットとしての事業システム
3 産業の生成
4 事業の支配的モデル
5 第一幕
6 第二幕
7 第三幕
8 まとめ
第II部 戦略の感度
第3章 顧客志向の標的
1 顧客は事業の土台である
2 社会的相互作用が導く意思と行為の反転
3 依存効果
4 反転する依存効果
5 まとめ
第4章 プロットで読み解くマーケティング
1 つながりをプロットとして読み解く
2 揺れ動く因果の連鎖
3 法則定立至上主義の限界
4 つながりを読み解くための理論
5 まとめ
第III部 制御の迷宮
第5章 競争行動の罠
1 3つの事例
2 何が明暗を分けたのか
3 差別化は空転する
4 まとめ
第6章 デザインの罠
1 デザインによる可視化
2 デザインに導かれた思考
3 デザインがもたらす必然
4 マーケティングにおけるデザインの罠
5 まとめ
第7章 マーケティング・リサーチの罠
1 顧客を理解するリサーチ
2 論理実証主義と批判的合理主義
3 2つのマーケティング・リサーチ
4 非決定論的事象を対象としたリサーチ
5 市場秩序の局所性
6 マーケティング・リサーチの課題再考
7 まとめ