地域経営のための「新」ファイナンス―「ふるさと納税」と「クラウドファンディング」のインパクト

 

著者名 保田 隆明
タイトル 『地域経営のための「新」ファイナンス―「ふるさと納税」と「クラウドファンディング」のインパクト』
出版社 中央経済社 2021年4月
価格 2530円 税込

紹介

地域課題、社会課題を解決するための資金調達手段(総称してソーシャルファイナンス)についての議論、関心は高まる一方です。我が国ではこれまでのところはクラウドファンディングとふるさと納税が、その社会的インパクトにおいて存在感を示しています。そこで、本書はまずはその二つについて、主に地方創生、地域活性化への可能性を議論することを目的として、これまで実施してきた研究を中心に取りまとめました。地域政策における、なんらかの政策的、実務的な示唆となれば幸いです。

目次

第1章 今こそ地域に経営視点を

1 地域は「運営」するものから,「経営」するものへ

2 地方創生はなぜ難しいのか

3 これまで限られてきた地域でのリスク性資金

4 新たな代替的資金調達手段(ソーシャルファイナンス)の登場

第2章 購入型クラウドファンディングと中小企業,地方企業

1 高まるクラウドファンディングへの期待とその現状

2 購入型クラウドファンディングでこれまでにわかっていること

3 購入型クラウドファンディングは中小企業,地方企業を利するのか

4 購入型クラウドファンディングにおける海外案件と大企業案件の影響と中小企業,地方企業および地方創生,地域活性化への考察

第3章 購入型クラウドファンディングと地域金融

1 地域金融機関と購入型CFの関係性

2 クラウドファンディングと地域金融についてのこれまでの議論

3 購入型クラウドファンディングに対する地域金融の認識と取り組み体制

4 購入型クラウドファンディングと地域金融機関のコラボレーションによる地域活性化の可能性

第4章 地域課題解決におけるソーシャルファイナンスの役割

1 自治体主導型から市民参加型へ

2 クラウドファンディングとふるさと納税の線引き,使い分け

3 シビッククラウドファンディングについて

4 ふるさと納税による日本版CCFの動向

5 日本版CCFでの民間企業との協業状況

6 日本版CCFのまちづくりへの効果

7 日本版CCFの潜在的な課題

8 通常のCFプラットフォームを通じた日本版CCF

9 まとめ

第5章 デジタルトークン・地域通貨の可能性と課題

1 なぜ今デジタルトークン・地域通貨なのか

2 これまでの日本の地域通貨の歴史

3 電子地域通貨の利用者属性と加盟店での決済状況の分析

4 「さるぼぼコイン」利用の実態

5 まとめ

第6章 ふるさと納税の概要とそれが自治体運営に迫っていること

1 ふるさと納税の概要

2 自治体運営におけるパラダイムシフト

3 ふるさと納税が制度的に内包する課題

4 ふるさと納税をめぐる様々な議論

第7章 地域事業者育成支援効果,ビジネス力向上策

1 従来の助成金や補助金による中小企業政策

2 ふるさと納税の構造的特徴

3 返礼品提供を通じた事業者の経営力向上の事例

4 官民連携が地域での創業・起業成功の鍵

5 地域事業者育成支援の課題

第8章 地域アントレプレナーシップの創出に向けて

1 ふるさと納税の返礼品提供事業者の実態把握の必要性

2 返礼品提供事業者の属性と経営力向上に関してのアンケート調査手法

3 返礼品提供事業者の属性

4 返礼品提供事業者の経営力向上に関してのアンケート調査結果

5 アンケート調査からの地域アントレプレナーシップ創出への示唆と課題

第9章 地方における移住・定住政策と関係人口増加策

1 全国的な人口減少社会で重要なのは人のシェアリング

2 ふるさと納税をきっかけとした関係人口,交流人口の創出

3 移住定住策の拡充をどう考えるべきか

4 北海道上士幌町の人口動態分析

5 地方における移住定住政策と関係人口増加策についての政策示唆

第10章 ふるさと納税を契機とした地域金融機関の機能強化の可能性

1 産官金連携による地方創生の可能性

2 ふるさと納税の返礼品を契機とする産官学金連携事例

3 ふるさと納税を契機とする産官学金連携に関しての地域金融機関へのアンケート調査

4 今回の分析からの政策的示唆

第11章 今後目指すべき地域経営の姿とは

1 今後の地域にとっての課題

2 今後の地域にとっての可能性

3 産官学金のベストプラクティスの地道な積み上げ

4 ソーシャルビジネスの素地の形成を